SASAnote SVリーグ初勝利へ、求められる「対応力」-群馬グリーンウイングス

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群馬グリーンウイングスは、皇后杯によるブレイク期間を経て、3週間ぶりにリーグ戦に臨む事になる。初めてのトップカテゴリーでの戦いは、開幕から14試合を戦ったが、未だ勝利はない。プロである以上、結果にこだわらなければいけない。ただ、勝利を掴むことが簡単ではないことは、当初からわかっていたことだ。個人的な感想を言えば、勝てていない悔しさはもちろんあるが、思った以上に戦えているし、勝利までもう少しの所まで来ていると感じる。焦る気持ちももちろんあるが、大切なのは、出来ている事と、出来ていないことをしっかり整理し、乗り越えて行く事だ。そうした意味で言えば、初勝利へ求められているのは、ゲームの中での「対応力」という事になるだろう。

首位・大阪マーヴェラスを迎えた、12月7日のゲームは、出来ている事、出来ていないことがゲームの中で如実に表れたゲームだった。

この試合、グリーンウイングスは、力のある相手に対し、ディフェンスでは、ブロックでのシャット、もしくは、ワンタッチを取り、フロアディフェンスでも、粘り強く拾いながら攻撃につなげ、選択肢多く、多彩な攻撃で得点を重ねるなど、互角の戦いを見せ、第1セットこそ落としたが、第2セットは、25-21とセットを奪う事に成功した。

グリーンウイングスの斎藤真由美監督も、「取ったセットは非常に自分たちの戦略が上手く言っていた。」と振り返るなど、思い通りの戦いができていた。

だが、第3セット以降は、修正してきた相手に対応しきれず、それまでとは一転、内容面でもいいところなく、大阪に押し切られ、敗戦となった。斎藤監督は、「相手はグリーンウイングスのバレーに対して慣れてくる、それに対しての戦略の変更、対応力が足りなかった。」と話した。

この日の対戦相手である大阪のエース・林琴菜も、「相手の粘り強さに、自分たちが決まらないと思い込んで、準備の遅さが出た。ただ、後半はブロックで仕留める所を仕留め、抜けたところはディグで拾えた。修正がしっかりできたのは、私たちの強みで、第3、第4セットでは自分たちのバレーを出し切れた。」と話した。

大阪としても、序盤は思い通りのバレーができなかったが、そこをしっかりと修正し、勝利へと繋げる事ができたのだ。グリーンウイングスも、いいバレーはした、だが、ゲームの中での対応力に大きな差があり、勝つことができなかった。

グリーンウイングスにとって、未知なるトップリーグ・SVリーグでの戦いで、当初懸念されたのは、高さや強さ、スピードに対するものだった。

髙相みな実は、「トップリーグに対しての慣れ、試合を通じて、スピードや、高さには慣れてくることによってどういうボールが決まるか、どういう角度で打てばブロックアウトになるか、どういうポジションを取ればボールが上がるかがわかってきていると思う。」と、試合を重ね、各選手が対応、理解してきていると感じている。

ただ、髙相は続ける。

「でもそこが、1回は出来ても、相手は2回目に変えてくる。毎年、トップリーグで試合をしているチームは、常に修正をしながらゲームを作っているが、私たちはそのスピードが甘い。対応に対する知識や情報量が、他のチームを上回れるようになると、取れるセット、勝てるゲームが増えてくると思う。」と話す。

このゲームで、ブロック5本を決めるなど良さを存分に出した林田愛佳も、「最初に点が取れても、その後、継続性がない。相手が対応してきた時に、自分に次ぎの手がないことを最近感じている。対応された時に、次はこれがあるというものを試合中でも身に付けていきたい。」と話している。

試合に向け、自分たちの良さを磨きながら、相手を対策し、弱い所を狙いながらゲームの足掛かりを作っていく。ただ、バレーボールは、データを最大限活用し、セットごと、局面ごとに、情報をどんどんアップデートしながら、修正を加え、相手を上回ろうと策を講じ、実行していく。

もちろん、それはコートの中の6人だけに課せられたことではない。ウォームアップゾーンにいる控えの選手たちも、変化をもたらす存在として、チームから求められる事、自らの良さ、特徴を存分に出しながら、変化を加え、対応する力になっていかなければいけないのだが、斎藤監督は、まだまだ足りていないと感じている。

「代わりに入る選手も、同じようなパフォーマンスでは点が取れない。全員バレーでいろんな戦いをやってきたが、それぞれの強みを取り入れることで、対応力としてやってきたつもりだが、誰が出ても同じ攻撃パターンでは勝つことができない。もう一度自分たちのコンセプトにプラスして、自分たちの色が輝きになるように向き合いたい。」

グリーンウイングスの選手層が薄いとは思わない。それぞれに良さがあり、特徴がある。あとは、その良さ、特徴をしっかり出す、そして、その力を変化してきた相手への対応力として出し切り、上回れるかどうかだ。

グリーンウイングスとしても、試合に向けて、いい準備はできる様になってきた、トップカテゴリーの高さ、強さ、スピードにも対応しつつある、その中で、どんな相手にもセットを奪い、競り合う戦いができている。ただ、試合の中で、変化する相手に対し、チームとしても、個人としても、対応できておらず、勝利まで届いていないのが現状だ。

では、対応力を上げるためにはどうすればいいのだろうか。そうした疑問に、髙相は、「思考力」を上げる。

「思考で勝たないといけない、コミュニケーションを多くとり、相手や自分たちの状況を把握しながら、まず思考で勝っていきたい。」と話す。

個人、チームとして、スキルのレベルアップはもちろんだが、それをどう生かすか、相手を上回れるか。そのためには、思考力が大事と考えている。勝利というゴールに対しての予測、判断がいかにできるかどうか。思考には、高さも、強さも関係ない。もちろん、バレーボールのスキル同様、一朝一夕にできるものではないが、自分に、仲間に、チームに、そして、相手に対し、思考を巡らせられるか。そうした事に、如何に向き合い、取り組めるか。それによって、初勝利までの時間は変わってくるだろう。

どのチームも、グリーンウイングスより格上だ。この先も、簡単に勝たせてもらえる試合はひとつもない。だからこそ、勝つために、初勝利を掴むために、個人、チームが、多くの事に取り組み、持てる全てを注ぎ込まなければいけない。選手たちには、タフな事が求められる、何より、勝てない事の苦しさもあるだろう。だが、多くのグリーンウイングスファンが、どんな時でもチームを支え、エールを送り続ける思いだ。

「どんな時でも挑戦することを恐れずに、一球一球、ボールに思いを込めて挑戦していきたい。」

我らが、角谷未波キャプテンが口にするこの言葉通り、恐れずに、挑み続けて欲しい。私たちは、そんな群馬グリーンウイングスのチャレンジが見たい、そして、チームにとって歴史的な大いなる1勝をともに掴みたいのだから。

<今後の試合予定>
12/28(土) 14:05 デンソーエアリービーズ戦(高崎市・高崎アリーナ)
12/29(日) 14:05 デンソーエアリービーズ戦(高崎市・高崎アリーナ)

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