SVリーグ女子の群馬グリーンウイングスは、23日、ホームで、昨シーズンのVリーグ優勝チームでもあるNECレッドロケッツ川崎と対戦し、セットカウント1-3で敗れた。グリーンウイングスは、第1、第2セットを落としたものの、第3セットは、終盤の競り合いの場面に、菊地実結、髙相みな実の連続得点でに押し切り、28-26で取り返した。しかし、第4セットを奪われ、初勝利を掴むことはできなかった。
チームは、開幕9連敗と苦戦が続いている。見るべき所も多いが、ゲームの流れとなるポイントを獲り切れず、終盤の戦い方にも課題も残した。
試合後、グリーンウイングスの斎藤真由美監督は、「1セットは取ったものの勝てたわけではない。内容としては改善しなければいけないことがある。明日までに修正して、頑張っていきたい。」と悔しさを口にした。
斎藤監督が課題に感じているのは勝負所でのミスだ。
「20点目以降の後半でサーブミスが出る所は詰めが甘い。強ければ、強いほど、大事な所でのミスは少ない。逆に私たちは、そこでサーブで押し切られ、決めきる所で決めきれなかった。」
スタッツで見れば、グリーンウイングスのサーブ効果率は、13.3%で、NECの5.7%を大きく上回っている。サーブの得点も、失点も、グリーンウイングスの方が良いスコアだが、タイムアウト明けやチャレンジ明けなど、ゲームが止まった後の最初のプレーで、グリーンウイングスのサーブミスが目立った。
攻めるサーブにはミスにつながるリスクもある。ただ、斎藤監督は、その状況、そして、プレッシャーがかかる場面での精神面も含めた強さ、質を求めている。
「ミスの仕方もアグレッシブな攻め方かどうか、許していい所かどうかを徹底すべきだ。試合前半は、リスクを負ってハードサーブで攻めてもいいが、後半になれば、自分たちを苦しめてしまう。いかに慎重に、でもアグレッシブにという所が、精神的なものもあるし、経験値も関わってくる。うちは、V2の時から自発的なミスが多い。まだまだ成長しなければいけない所だ。」
開幕から1ヶ月、そして、今週で、リーグ1/4を終える10試合目になる。選手たちも初勝利を渇望するが、なかなかつかめず、もどかしい時間が続いている。
松尾奈津子は、「成長してきている部分もあるが、勝ち切れないところ、競ったところで質の差が出ている。まだまだ自分達も成長していかなければいけない。できることは、続けながら、1勝を全員でつかみ取りたい。」
ここまで、ワンサイドで抑える込まれる試合はないが、競り勝てず、セットを落とす、勝利を逃すシーンは多い。
松尾は、「終盤になった時に、1点を取る事だけにフォーカスしてしまい、最後までの過程の部分ができていない。」と勝利のための全体のイメージが描き切れていない、表現しきれていない事を口にする。
必死に目の前の1本を取ることは大切だが、相手に何を意識させ、どこを突いていくか、勝利への流れを掴むか、そうした事も意識しなければ場当たり的になってしまい、なかなか勝ち切ることはできない。
林田愛佳も同様に、「みんな勝ちたいし、勝ちたい気持ちで頑張っているのでもどかしい。悔しい気持ちがずっと続いている中での練習、試合になっている。それをどう表現し、体現するかが自分たちに必要だ。明確な目標はあるので、貪欲さや自分たちの良さを出して、一瞬一瞬を勝つためのプレーだったり、声掛けをしたい。」と話す。
また、林田は、大事な場面で1点を取り切るためには、決めたことをやり切る遂行力の大切さを口にする。
「タイムアウトの時、コーチからの掛け声が多い。自分たちも、話はしているが、それがコート上で確実にできていない。逆にNECはやると決めたことをしっかりやっているからこそ、1点を取り切れていると思うので、自分たちも、それをやりたい。」
この日の相手、NECレッドロケッツ川崎は、直近、Vリーグを2連覇し、日本代表選手も多く在籍するチームだ。個々、選手の質は高い。プレーにも余裕を感じ、強さで一気に押し切るかと思えば、グリーンウイングスの隙や弱点をサッと突いてくる。劣勢になりそうな場面でも、しぶとさを見せ、ラリーに持ち込み、取り切り、流れを渡すことはほとんどなかった。私は、そうした部分にも違いや強さを感じた。
グリーンウイングスにも、個々、それぞれに特徴、良さを持った選手が揃っている。ならば、個々のスキルを上げつつ、チームでの戦いに持ち込み、勝ち切れるかという事になるだろう。
チームで戦うという部分では、試合後の正木七海のコメントが印象的だった。
「先輩方が『思い切り打っていい』と挑戦させてくれる環境を作ってくれている。そうした思いに、背中を押される。自分が決める思いもあるが、先輩方が教えてくれたことが背中を押してくれるし、『絶対にフォローに入る!』という声掛けで、思いっきりプレーができている。」
この日の正木は、相手ブロックがしっかり複数枚ついても、逃げずに、打ち続けた。どんな場面でも、軟打でかわすことなく左腕を振り続けた。その結果、アタックでエースの髙相みな実と並び、10得点を挙げた。
ひとりでは打ち負かされるかもしれない。だけれども、仲間とともに力を合わせ、皆で向かえば、どんな相手でも、良さ、特徴を出し、1本を取り切れる。この日の正木は、先輩たちとともにその事を証明してくれた。
選手、チームもよく話すが、厳しい戦いは覚悟していたし、言えば、思った以上に戦えていると感じる。ただ、勝つためには、もうひとつ技術面でも、精神面でも越えていかなければいけないが、グリーンウイングスには、どんな時でも失われることのない一体感がある。コート上、ウォームアップゾーン、ベンチ外、その日の役割、立場はあるが、皆が役割を全うしようと力を尽くしてくれている。
なかなか初勝利を掴めない厳しさはあるが、開幕から1ヶ月、ここまで感じた事、得た経験が、この後、しっかりと勝利という結果に変わっていくことになるだろう。反省や課題は、自分とチームにとっての伸びしろでしかない。
年内残り試合は、ホームゲームでの戦いだ。会場にいる県民、ファンの更なるエールが今こそ必要だろう。チーム、選手を支え、ともに初勝利を掴もう。その喜びを味わうために、私たちも応援で戦力をもって戦わねばならない。
<今後の試合予定>
11/24(日) 14:05 NECレッドロケッツ川崎戦(桐生市・桐生ガススポーツセンター)
11/30(土) 14:05 KUROBEアクアフェアリーズ戦(前橋市・ALSOKぐんまアリーナ)
12/1(日) 14:05 KUROBEアクアフェアリーズ戦(前橋市・ALSOKぐんまアリーナ)
12/7(土) 14:05 大阪マーヴェラス戦(前橋市・ヤマト市民体育館前橋)
12/8(日) 14:05 大阪マーヴェラス戦(前橋市・ヤマト市民体育館前橋)
12/28(土) 14:05 デンソーエアリービーズ戦(高崎市・高崎アリーナ)
12/29(日) 14:05 デンソーエアリービーズ戦(高崎市・高崎アリーナ)