サッカーJ2のザスパ群馬は、11日、今シーズン限りで現役引退を表明した地元・群馬出身で、元日本代表としても活躍したMFの細貝萌選手が、来シーズンから社長代行兼ゼネラルマネージャーに就任すると発表した。
就任は2月1日付けで、来年4月に予定している定時株主総会で、正式に代表取締役社長に就任する予定だ。
細貝 萌選手 社長代行兼GM就任内定のお知らせ(ザスパ群馬 公式サイト)
また、細貝氏の社長就任に併せ、山田耕介取締役会長が取締役相談役に、赤堀洋代表取締役社長は、代表取締役会長に就任する。
クラブは、近日中に、細貝氏の現役引退会見と新社長就任会見を開く予定で、その席上で、社長就任への思いや経緯などを語る予定だ。
一方、リーグ最下位で、J3降格となった成績不振を理由に、武藤覚監督と松本大樹強化本部長の退任を発表した。
武藤監督は、大槻毅前監督が就任した2022年からヘッドコーチとしてチームを支え、3年目の今シーズンは、5月に成績不振で退任した大槻前監督の後を引き継ぎ、監督に就任したもののチームを浮上させることができなかった。
武藤監督はクラブを通じ、「シーズンの途中から監督という立場で仕事をさせていただきましたが、勝点を積み上げられずに、残留という目標を達成することができなかったこと、ホームゲームでもなかなか勝てないシーズンになってしまったことに責任を感じています。皆様のご期待に応えることができず、大変申し訳なく思っております。」などとコメントしている。
松本強化本部長は、ザスパがJ2復帰を果たした2020年から強化本部長に就任し、大前元紀、畑尾大翔、岩上祐三、櫛引政敏、山根永遠など、5シーズンに渡り、クラブの中軸となる選手の獲得に尽力してきた。
松本本部長はクラブを通じ、「結果を出すことができず、ファン・サポーターのみなさま、そしてザスパに関わる全てのみなさまの期待に応えられなかったことは、現場責任者として大変申し訳なく思っています。」などとコメントしている。
松本 大樹 強化本部長退任のお知らせ(ザスパ群馬 公式サイト)
こうした中、強化のリーダーとして、佐藤正美強化担当が、強化部長に就任し、上釜広行アカデミーダイレクターが強化担当を兼務する強化体制の変更を発表した。
佐藤強化部長は、神奈川県出身だが群馬育ちで、前橋育英高校を卒業後、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせ、ザスパへは、JFL時代の2004年に加入し、突破力のあるFWとして、Jリーグ参入に大きく貢献した。チームの得点源、キャプテンとして、2007年までプレーし、現役を引退した後も、ザスパで指導者、スタッフとして長く活躍した。そして、2019年からは強化本部のメンバーとして、主に、大卒、高卒の若手選手獲得に尽力し、近年では、城和隼颯、岡本一真、長倉幹樹などを見出してきた。
佐藤強化部長はクラブを通じ、「クラブが草津からJリーグを目指した時代から、選手、アカデミー、トップチームを経験し、自分なりの想いを持ってJ2復帰を目標に最善を尽くしたいと思います。ザスパ群馬に関わる全ての皆様と毎試合熱くパワフル、かつアクティブに戦い、皆様から親しまれ、愛され、自慢となるチームを目指します。」などとコメントしている。
佐藤正美強化部長就任ならびに強化体制変更のお知らせ(ザスパ群馬 公式サイト)
ザスパ再生に向け、クラブは、知名度があり、カリスマ性の高い、細貝萌選手を新社長兼GMに迎えることに成功した。新たなリーダーの誕生に期待は高まるが、クラブ経営者としては、未知数であり、J3降格となって失われた信頼を取り戻すために、クラブフィロソフィーをどう描き、それを実現するのか。非常に困難で、難しい課題に挑むことになる。
ただ、地元・群馬だけでなく、日本、そして、世界中に多くのファンを抱えるスターだ。「細貝なら!」と、支え、応援し、力になろうという人は多いはずだ。そうした力をより多く取り込み、クラブをより大きくするエネルギーへと変えられるのも、細貝新社長兼GMだからできることだ。自らの力と能力、そこに、多くの仲間、支援者の力を借りながら、ザスパ再生を実現してもらいたい。
一方、赤堀社長は、社長職からは退くものの、依然として、クラブに残り、代表権のある会長職に就く事になる。また、松本前強化本部長も、強化本部長職は退くものの、今後も、クラブに残るのか、それとも、離れるのかどうかについては明確にはなっていないという。
今回の人事含め、J3降格の責任の所在、取り方について、クラブからの説明がもう少し必要だろう。近日中に予定されている記者会見で、県民、ファン、サポーター、そして、スポンサーなど、ザスパを応援する皆さんが納得でき、ともに、J2復帰に向け、リスタートできる説明を期待したい。