サッカーJ2・ザスパ群馬は、23日、前橋市出身で、元日本代表のMF 細貝萌選手(38歳)が、今シーズン限りで、現役引退すると発表した。
細貝選手は、現役引退に至った経緯や思いについてホーム最終戦のセレモニー、ならびに、今シーズン終了後に開く記者会見で伝えるとしている。
細貝選手は、前橋市出身で、前橋育英を卒業後、2005年にJ1浦和へ加入。メンバーのひとりとしてクラブタイトルに貢献するとともに、中心選手として成長、活躍し、2010年には日本代表に初招集された。
その後、国内外のクラブを経て、ザスパへは、2021年9月に加入し、今シーズンまで3シーズン半に渡り、インテンシティの高さと豊かな経験を武器に活躍するとともに、高いリーダーシップでチームをまとめた。
Jリーグ通算156試合6得点を記録、日本代表として、30試合1得点を記録した。
ザスパでは、10月23日時点で、36試合1得点、カップ戦1試合、天皇杯2試合1得点を記録、今シーズンは、リーグ戦3試合、カップ戦1試合、天皇杯1試合1得点を記録している。
現役引退が発表された23日の練習では、21日月曜に行われたトレーニングマッチ出場組という事もあり、軽めの調整で練習を終えた。
関係者によると、この日の練習が始まる前に、細貝選手自ら、チームメイトに対し、現役引退の報告を行ったという。
なお、リリースの通り、メディア対応はなかった。
一方、クラブハウスに戻ってからは、インターンシップで訪れていた高校生に、自ら、笑顔で声を掛け、気遣う、いつもの細貝選手の姿があった。
細貝選手の現役引退発表を受け、監督、選手からも惜しむ声が聞こえた。
武藤覚監督は、「引退は必ず来る中で、彼の決断だけどそうなってしまったのは寂しい。もう少し力になってあげたかったという両方の思いがある。彼がやってきたことはすごい事なので、これからザスパのためだけじゃなく、日本サッカー界のために仕事ができる人物だし、今後、いろんな方面で活躍して欲しい。」と語った。
また、コーチ、監督として接する中で、「彼の言葉の影響力は、他の選手にとっても大きいし、ポジティブに引っ張ってくれるところがあった。経験を活かして、伝えてくれることは多かった。」と評した。
残り3試合に向けて、「この3週間は。また頑張ってくれるだろうし、『彼のために』というのが、出てきてくれたらいいと思う。」と細貝選手の活躍に期待するとともに、ザスパ全体にいい影響を与えることを期待した。
また、同じ群馬県出身で、中盤の選手として共にプレーする天笠泰輝は、「寂しいというか、群馬出身の人なら、『ハジさん、引退するのかぁ。』という不思議な気持ち。まだまだ、やって欲しいが、決めた事。群馬県出身の選手として、追いつきたい存在。」と複雑な心境を教えてくれた。
細貝選手の素晴らしさについて聞くと、「近くで見ていて人間性があり、優しかった。誰よりも早く練習に来て、練習後は、ケアもしっかりして、誰よりも帰るのが遅かった。そんな自分に向き合う姿を見て、日本代表や世界でやっている選手もこんなにやっているのに、僕はダメだなというのを背中で見せてくれた。ハジさんを見て、もっともっと、やらないといけないなというのを感じた。それは、僕だけじゃなく、ここにいる全員が感じているはず。」と語り、さらに、「ピッチ上でも、『失点しても、大丈夫だよ。』などと、単純なひと言かもしれないけれど、ハジさんに言われることで救われていた。去年も、今年も、精神的に救ってくれた存在で、人間性はめちゃくちゃスゴイ、ひとつひとつが凄かった。」とその大きさを教えてくれた。
誰にとっても優しく、頼りがいがある細貝萌との時間は、残り3試合だ。まずは、自らのために最高の時間を過ごしてもらいたい。そして、少しでも長くピッチに立ち続けて欲しい。望むとするならば、最終戦の試合終了の笛が鳴る瞬間、ともに勝利を喜び、笑顔でその時を迎えることだ。