SASAnote グリーンウイングス シーズンプレビュー -群馬グリーンウイングス

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日本最高峰にして、世界最高峰を目指す新たなバレーボールリーグ、大同生命SVリーグが、11日日開幕する。初のトップカテゴリーでの戦いとなる群馬グリーンウイングスの開幕戦は、ホームで14日月曜・祝日、ホームに、昨シーズン、V1で7位となったアステモ・リヴァーレ茨城を迎えて行われる。

はじめてのSVリーグ、そして、トップカテゴリーでの戦い。グリーンウイングスにとってどんな戦いが待っているのか展望する。

SVリーグ1年目となる今シーズンの目標は、プレーオフ進出となる「8位以内」が目標だ。

だが、グリーンウイングスにとっては、厳しい戦いが予想される。

SVリーグ女子14クラブの内、12クラブは昨シーズンのV1クラブ、V2からの参入は、姫路とグリーンウイングスだが、姫路は過去にV1を経験。つまり、14クラブで、トップカテゴリーを経験していないのはグリーンウイングスだけになる。

昨シーズンの戦いで見ても、V2では、V1から降格した姫路に圧倒される展開が目立った。また、V2で長くライバル関係にあり、昨シーズンV1昇格イヤーとなったアランマーレは1勝も挙げる事ができない、悔しいシーズンとなった。

こうした結果を見ても、改めて、V1とV2の壁を感じるし、残念ながらグリーンウイングスは、試合に勝ち、昇格という形でトップカテゴリーに上がることはできなかった。14クラブ中、14番目という位置付けから這い上がっていかなければいけない立場だ。

ただ、這い上がるために、このオフは積極的な補強を行っている。今シーズンは、新たに7選手を獲得し、総勢20名で挑むシーズンだ。

日本人選手では、V1のPFUからOH髙相みな実、トヨタ車体からLi小出雛、V2のJAぎふからMB塩崎葵葉を獲得、いずれも即戦力として期待できる選手だ。都留文科大から加入するルーキーのS閑田千尋も、昨シーズン、内定選手として、すでにデビューを果たしており、開幕からしっかりと役割りを果たしてくれるだろう。

また、最大3人起用できる外国人選手もフルに使い、タイ出身で、ミドルブロッカーのタナパン・ウィモンラット、ポーランド出身で、アウトサイドヒッターのリエフスカ・ナターリア選手、モルドバ出身で、オポジットのマルティニューク・アリョーナ選手を獲得した。ウィモンラットは東レ、アリョーナは姫路に在籍経験があり、日本のバレーを知っているのも心強い。

3シーズン目の指揮となる斎藤真由美監督は、「全員バレー」、「ミドルを中心とした3Dバレー」という戦い方の基本方針は変わらないが、「ある程度のメンバー固定も考えている」と話すなど、選手起用では変化がありそうだ。

ただ、試合数が昨シーズンの倍以上(昨シーズンまでV1は22試合、V2は18試合)となる44試合になる事から、1シーズンを通してのメンバー固定は、コンディション面などから難しいとみており、全選手が切磋琢磨しつつ、チームとして、常に目指すバレー、出せるベストの状態で選手を起用できるかという意味では、今シーズンは、これまで以上に、「全員バレー」の重要性が高まる。

試合数の増加は、他のクラブもキーワードに上げている。

試合数が多く、毎週、連戦で試合が来ると、力のある選手が揃っているチームでも、コンディション調整に失敗すると、本来の力を出し切れず、勝ち星が遠くなる、連敗から抜け出せないという事も十分にある。逆に、グリーンウイングスの立場で言えば、実力上位の相手に対しても、コンディションを整え、チームバレーを表現できる選手を起用し続けられるかどうかが、勝利、連勝に繋げるための鍵となりそうだ。

とは言え、やはりV1の選手は、高く、速く、パワフルで、上手い。簡単に勝てるほど、甘くはない。

目指す姿は、タレント豊富なミドル陣を活かし、相手を切り崩し、チャンスで確実に得点につなげられるかだが、昨シーズンまでのV2以上にシビアなものになるだろう。1プレー、1点の重要性は増す。

また、昨シーズンは、チームとしてもレセプション(サーブレシーブ)で、10チーム中、9位の成功率50.7%と苦しんだ。レセプションの改善なく、V1勢の強力なサーブに屈してしまえば、自分たちの戦術を語る以前の問題だ。

こうした中、外国人選手たちのパフォーマンスは、勝敗へ大きな影響を与えるだろう。昨シーズンまで1人の起用だった外国人選手は、コート上に最大3人立てることになる。外国人選手頼みという様な状態は、やや寂しいが、それでも、3選手の力は重要なものになる。チームへのフィット感は、まだまだ上げている状況だが、シーズンを通じて、試合を重ねることで、関係は良くなり、より、特徴を発揮してくれるだろう。SVリーグで、3選手が、どんな活躍ができるかは未知数だが、活躍次第では、チーム目標の8位に近づく事が期待される。

他の日本人選手たちも、挑戦する事、チャレンジする事、成長することに意欲的だ。シーズンの中で、その思いを持ち続け、深化できるかどうかは、自らがコートに立てるかどうか、そして、相手を上回り、勝利を掴めるかどうか、重要なポイントになる。良い時ばかりではないが、挑み続けてもらいたい。それが、勝利へ、目標達成に必要だ。

そんな選手たちの良さを最大限に引き出し、強さを伸ばし、活かしながら、弱さをどう補うか。スタッフ陣の手腕に注目だ。

そのスタッフ陣も、PFU元監督の坂本将康氏がGMとして加わり、コーチだった舟越悠二氏、和才奈々美氏も、グリーンウイングス入りした。新チーム立ち上げから、積極的にチーム作りにかかわり、選手たちからも、指導や助言がプラスになっているというポジティブな声が聞こえてくる。昨シーズンまで、斎藤監督を中心に作り上げてきたチームが、新スタッフ陣の加入により、さらに成長できている手ごたえがある中で、新シーズンを迎えられるのは、頼もしい限りだ。

まずは、開幕戦のアステモ・リヴァーレ茨城戦で、結果はもちろんだが、どこまでできるか、何ができるか、できないか、見えてくることも多いだろう。

一方、チームの頑張りとともに求められるのが、ホームゲームでの演出、集客を含めた、クラブの頑張りだ。

SVリーグは、ホーム&アウェイ形式で行われる。44試合のうち、半分の22試合がホームゲームだ。

昨シーズンのグリーンウイングスのホームゲームは8試合。それが、3倍近くに増える。これまで、試合数が限られ、見たくても見られない、見てもらえなかったホームゲームだが、群馬県内での観戦機会が増えたのは朗報だ。

また、これまでは、地域の皆さんとの手作り感のある、温かい雰囲気だったホームゲームは、よりエンタテインメント性を増すことになるという。ホームゲームの演出は、SVリーグとしても力を入れていて、さながらバスケットボールのBリーグを意識したようなものになるとみられる。競技が中心であるのは変わらないが、イベント、演出含め、非日常感を演出し、SVリーグ、バレーボール、グリーンウイングスに興味を持ってもらえるかどうかは、今後に向けても重要だ。

チームの人気、盛り上がりを示すバロメータともいえるのが、ホームゲームの集客数だが、昨シーズンのグリーンウイングスは、ホームゲーム8試合で5384人を集客した。1試合平均では674.25人だ。

なお、昨シーズンのV1平均は964人、V2平均は795人で、残念ながらグリーンウイングスは、いずれも下回っている。ちなみに、昨シーズン、V2だった姫路は、ホームゲーム8試合で、14466人を集客し、1試合平均、1808.25人と、V1平均も上回り、グリーンウイングスの3倍弱という数字だ。

先ごろ、SVリーグの大河正明チェアマンは、インタビューで、初年度の1試合平均の集客目標として、「男子は2800人、女子は2000人近く」を掲げている。また、SVリーグのライセンス基準では、2030年以降は、ホームアリーナの入場可能数を「5,000人以上の客席を有する」と定めている。ちなみに、群馬県内でこの要件を満たすのは、ぐんまアリーナ、高崎アリーナ、オープンハウスアリーナ太田になる。

集客は、チームの成績も要素として大きいが、チームの成績に左右されず、高い人気へつなげられるかどうかはクラブとしての腕の見せ所だ。ホームゲームの演出はもちろん、地域への取り組み、関係づくりなど、これまでのグリーンウイングスでは、なかなか取り組めていなかった部分に、どれだけ力を入れ、成果につなげられるかどうかという部分も注目したいし、それが、チーム、クラブとしての力を示すことになる。

個人的な感想になるが、これまで、グリーンウイングスのホームゲームで、何度かアリーナMCを担当させていただいた時、皆で、グリーンウイングスコールを叫び、一体となる瞬間は特別なものだった。来場するファンの皆さんにそれぞれの楽しみもあるが、試合を通じた多くの時間で、良い時も、上手くいかない時も、チーム、クラブを後押しする雰囲気であり、応援があるホームゲームになる事を期待したい。

選手、スタッフが頑張り、チームが躍動する、そんなチームをクラブがしっかりと支えながら、応援してくれる県民、ファンの皆さんとをつなぎ、一体感を醸成し、グリーンウイングスファミリーの輪がどんどん大きくなっていく。言葉で言うほど簡単ではないのは百も承知だけれど、そんな素晴らしい関係で発展していくことを願いながら、群馬グリーンウイングスとして、新たな歴史の扉を開きたい。

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