来月(10月)に開幕を控えるSVリーグの群馬グリーンウイングスが、24日、群馬県庁32階・NETSUGENで、2024-25シーズン 開幕前公式会見を開き、選手、スタッフらが意気込みを語った。
群馬銀行バレーボール部として、1975年に9人制チームとしてスタート、そして、2015年からは6人制に移行し、「グリーンウイングス」の名を掲げ、Vリーグを戦ってきたチームが、いよいよ、国内最高峰、そして、世界最高峰リーグを目指すSVリーグへ挑むことになる。
チーム目標である「8位以上」そして、その先へ。
未知なる舞台にそびえる高き壁を乗り越えるために、チームが一丸となるのはもちろん、地域の皆さん、応援してくれる皆さんの声援を大きな翼に変え、舞い上がるのみだ。
会見には、佐藤公彦代表をはじめ、齋藤真由美監督、坂本将康GM、角谷未波キャプテン、白岩蘭奈副キャプテンが登壇し、新シーズンの意気込みを語った。
齋藤監督は、「SVリーグ参入にあたっては、様々なノルマをクリアしなければならない中、多くの皆さんのご尽力によって素晴らしいステージに進めることを本当にうれしく思っている。GMで坂本さんが来てくれて、心強く、いつも助けてもらっている。また、スタッフ陣も総入れ替えとなった。SVリーグで戦う準備は整ったと思う。GM、スタッフとともに、全力で選手たちをサポートしたい。目標は、ベスト8(8位以内)だが、それを越えられるよう一丸となってやっていきたい。そして、地域の皆さんには、応援することが『生きがい』となるよう、皆様に愛されるチーム作りもやっていきたい。引き続き、応援をお願いしたい。」と話した。
齋藤監督が話す様に、今シーズンのグリーンウイングスの変化のひとつは、スタッフ陣が大きく入れ替わったことだ。特に、これまで不在だったGM(ゼネラルマネージャー)に、前PFUブルーキャッツ監督の坂本氏が就任したことが大きい。
一般に、GMは、クラブとチームの間に入り、調整役として、チーム強化に努める役職だ。これまで、グリーンウイングスの監督は、選手、チームを見ながら、クラブに対しての要望や、選手獲得、補強など多岐に渡っていたが、役割が明確になり、監督も、よりコート内に集中できるようになる。
坂本GMは、「まずは、齋藤監督の手助けとなるような仕事がしたい。GMとしての仕事は、競技力向上、チームの強化だと思って、これを就任から4カ月やってきた。今いる選手たちが、最大のパフォーマンスが出せる様、コーチングを含めやってきたし、今シーズン、そして、ここから先の未来を考えて、長いスパンでのチーム強化、選手発掘をするなど、齋藤監督のサポートに徹してきた。今後も、力になれるよう頑張りたい。」とチーム強化を図るとともに、齋藤監督を全力でサポートする思いだ。
一方、そんな齋藤監督、坂本GMら、スタッフのサポートを受けながら、新シーズンに向け準備を進める選手たちも強い思いで挑む覚悟だ。
キャプテンを務める角谷未波は、「新しいリーグが始まる年に、SVに参入できることを嬉しく思う。私たちはチャレンジャーだと思うし、厳しいリーグになるのは覚悟している。だが、どんな時でも挑戦することを恐れずに、一球一球、ボールに思いを込めて挑戦していきたい。失うものは何もなく、試合では得るものしかないという思いで、開幕までチーム力、完成度を高め、試合を迎えられるよう日々努力したい。」と誓った。
また、白岩蘭奈副キャプテンは、「新しいSVリーグの舞台に挑戦できることをとてもうれしく思う。グリーンウイングスの魅力や強みをチーム全体で引き出し合って、1試合ごとに、確実に成長できるよう頑張りたい。」と意気込んだ。
それぞれが意気込みを語った後、先日、加入が発表になった外国人選手の内、ミドルブロッカーで、タイ出身のタナパン・ウィモンラット、モルドバ出身で、オポジットのマルティニューク・アリョーナの両選手も紹介された。
タナパン・ウィモンラットは、「今回、グリーンウイングスの一員となり、ここでプレーできることを嬉しく思っている。チームのため、ファンのために、全身全霊をかけてプレーしたい。」と話し、マルティニューク・アリョーナも、「私の事は、『アリ』と呼んでください。グリーンウイングスでプレーできることを嬉しく思っている。チームに入り、新しい出会いがあり、素晴らしい人たちが揃っていて、毎日、一生懸命、頑張ってトレーニングができている。このチームで良い結果が得られるよう、そして、少しの幸運に恵まれたらと思う。」と互いに、新シーズンへの期待を口にした。
グリーンウイングスが、SVリーグを戦うにあたり、ポイントになる事がいくつかある。初めてのトップカテゴリーでの戦いという事はもちろんだが、年間44試合、ホームゲーム22試合、毎週末、リーグ戦がやってくるというこれまでに誰も経験したことがないタフなリーグ日程、そして、コートに立てる外国人選手が、最大2名(外国人枠1名+アジア枠1名)から最大3名(外国人枠2名+アジア枠1名)に増える事だ。昨シーズンまでは、V2を戦っていたこともあり、グリーンウイングスは外国人枠1名を活用していたが、トップリーグになり、フル活用することになる。
齋藤監督は、その点について、「過去2シーズンは、全員バレーという事で、ポジション関係なく、相手チームによって、選手を入れ替えることも多かったが、今シーズンは、ある程度、メンバーの固定も考えている。しかし、固定して、44試合を戦う事は非常に難しい。全ての選手の質が上がらなければ戦えないが、そこは選手たちが十分感じてハードワークしてくれている。そして、外国人選手も1人から3人になり、日本人選手たちも、対戦相手の戦いよりも、まずは、コートに立つために、仲間同士、チーム内での戦いにもなる。プロ意識を持って、切磋琢磨することを意識して臨んでいきたい。」と選手たちにもより高いものを求め、総力を挙げて駆け抜ける思いだ。
そういった意味では、これまでの2シーズンとは、意味合いが異なるが、全員が大事な戦力であり、全員バレーができなければ、望む結果は得ることができないという点では変わらない。今シーズンも、誰ひとり欠けることなく、全員で戦う、それが、群馬グリーンウイングスのバレーボールだ。
一方で、チームの強さとともに求められるのがクラブとしての成長だ。
佐藤代表は、これまでのクラブとしての活動について、「今までは、銀行法などの制限もあり、事業面で拡大する事ができず、地域の方々の認知は低かったように感じる。」と振り返った。ただ、SVリーグ参入が決まり、「トップリーグに上がる事への期待が高まっていることを感じるし、女性アスリートチームへの期待も強く感じている。」と手ごたえを口にしている。
そうした手ごたえは数字にも表れており、ファンクラブの会員数も、去年10月の時点で385名だったが、現在は、1500名まで増えたという。また、昨シーズンは4社だったパートナー企業も、30社に増加し、事業予算も、昨シーズン比で180%の増加だという。
もちろん、規模の大きなクラブと比較すれば、まだまだ足元に及ばないかもしれないが、クラブとしても、チームだけでなく、ともに成長していこう、強くなっていこうという気概を感じる。
また、新シーズンに向け、新たに年2回の活動広報誌「The Green Wings Press」の創刊、子どもたちを対象にしたプロスポーツ職業体験、群馬銀行のアプリである「ぐんぎんアプリ」と共同企画を行い、選手のサイン入りユニフォームやアクリルスタンドなどが当たるキャンペーンなど、ファンや地域の皆さんに楽しんでもらう企画も積極的に行う予定だ。
そして、ホームゲーム演出については、「まだお伝えはできない。」としたものの、「運営のテーマは、『チェンジとチャレンジ』だと思っている。変化を見せていきたいし、楽しんでもらいたい。そこを一生懸命やりたい。」と期待を持たせた。開幕戦が楽しみだ。
期待は大きい、きょうの会見を経て、さらに膨らんだ。だが、SVリーグ14チームの中で、唯一、トップカテゴリーを経験したことがないチームにとって、待ち構える壁は、とてつもなく高く、分厚いだろう。正直、想像ができない。楽しみもあるが、やはり、未知への不安の方が大きい。それでも、群馬グリーンウイングスは、勇気をもって踏み出し、新たなステージで戦う事を選んだ。
白岩は、「副キャプテンとして、チームを客観的に、冷静に見て、その時に応じた声掛けをチームにしている。個人としては、アウトサイドヒッターやオポジットをやる機会を任されている。厳しく、苦しい中で、しっかり1本を決められるスパイカーになりたい。」と決意を口にし、角谷は。「上手くいかないこともあるかもしれないが、キャプテンとして、言葉だけでなく、背中で引っ張れるよう頑張りたい。セッターとしては、どんな状況でも冷静な判断をしつつ、強気なトス回しでスパイカーを活かす配給で頑張りたい。」と力強く語ってくれた。
そんな選手たちを支えられるのは、ともに戦う事を誓った県民、パートナー、ファンでしかない。皆が一丸となり、応援の輪を広げ、選手、チームとともに、さらに大きなグリーンウイングスファミリーとして、この歴史的なシーズンを駆け抜けよう。
大同生命S.V. LEAGUE WOMEN レギュラーシーズン
第1戦 10月14日(月)19:05 群馬グリーンウイングス vs Astemoリヴァーレ茨城(桐生ガススポーツセンター)
第2戦 10月15日(火)19:05 群馬グリーンウイングス vs Astemoリヴァーレ茨城(桐生ガススポーツセンター)