奇跡の残留のために、そして、北関東ダービーという特別な試合。勝利しか許されない重要なゲームでザスパ群馬は、1-2と敗れた。それだけではない、内容面でも完敗だった。今シーズン、何度も見せられた同じパターンでの失点、繰り返される消極的な攻撃、さらに、見ている者の心を何ひとつ熱くすることができないプレーに、「悔しさ」、「悲しさ」、「怒り」ではなく、私の心は「また裏切られた」という感情に支配された。
前節の横浜FC戦を終えて、最下位のザスパは勝ち点13、残留圏ギリギリの17位熊本は勝ち点27と、すでに14ptもの差をつけられてしまっている。水戸戦を迎えるにあたり、残りは11試合。熊本と、ほぼ5勝分(15pt)差をつけられていることからも、状況的に全勝する勢いでなければ、J2残留できないのは誰の目にも明らかだ。そして、ザスパにとっては残留を争うライバルたちとの直接対決に勝利することで、ライバルの勝ち点を積ませない、降格圏へ引きずり込まなければならない。
そんな中迎えた、16位水戸との北関東ダービーは、そうした意味でも重要な一戦だった。勝利をすることで勝ち点を増やし、残留を争うライバルとの差を縮め、なおかつライバルを相手に勝てれば、より勢いもつくはずだったが、、、ザスパはなにひとつ成し遂げることができなかった。
試合開始から相手の勢いに押され後手を踏む。奪いどころがはっきりせず、ピッチを自由に使われると、3バックのサイドのスペースを再三突かれ、そこからの突破、折り返しと、ピンチが続く。相手の勢いを食い止める事ができず、前半14分という早い時間に失点。前半はその後も流れを変えられず、アディショナルタイムにも1失点目と同じような形からピンチを招き2点目を許し、苦しい流れとなってしまった。
後半に入り、4バックへの変更、選手交代などを行うとともに、点差、時間経過などから、徐々に流れを掴み、後半37分、左から風間-高橋-佐川-仙波と流れるようなボールの動きで、最後はペナルティエリア外からエドが豪快にミドルを決めて1点を返し、最終盤の猛攻へと繋げたが、逆転はもちろん、同点にする力も今のザスパにはなかった。
一方で、この日は、選手起用にも疑問が残った。
武藤覚監督は、秋田から期限付き移籍で獲得した小柳達司を3バックの中央でスタメン起用した。空中戦、対人での強さや経験値という部分で小柳も役割を果たしたが、ザスパの肝でもある後方からのビルドアップという部分では、プレーの特徴、そして、何より、合流からの時間も含め、ザスパのサッカーを理解してもらえているかどうかも含め、最適解だったのだろかと感じた。
小柳がどうこうというよりも、この日は、特に前半、全体としてもプレーが低調で、ビルドアップやボールを動かす部分で、パスがズレたり、相手の厳しいチェックに苦しむなど、バタバタしたものになっていた。
前節の横浜FC戦では瀬畠義成がその役割を務め、彼の特徴も活かしながらピタリとはまるプレーで、J2山形に移籍した城和隼颯が抜けた部分をカバーしてくれていた様に感じていたので、余計に疑問に感じた部分であった。
この時期の新加入は、すぐにピッチに立ってもらい、活躍してもらわなければいけない存在だが、チームサッカーを理解してもらうための時間の短さ、そして、より小柳の良さや特徴が生かせるポジション、時間帯での起用もあったのではないかと思った。
そんなことも含め、早い時間の失点、クロスの対応、取りどころがはっきりしない守備、相手ゴールに矢印を向けられない攻撃姿勢、スロースターターで最終盤にようやく見せ所は作るも、結局、ゴール、勝利には届かない結果。これまで、何度も、何度も、何度も見せられたザスパの悪い部分がすべて出たゲームになってしまった。
そして、それだけではなく、サッカーのベーシックな部分である、球際や競り合い、切り替えの部分でも、水戸を上回ることはできなかった。そうしたサッカーで、応援している者、見ている人の心を揺さぶる事などどうしてできようか。正直、この重要局面で、そんな部分を指摘しなければいけないことに悲しくなる。
もちろん、いつも言っているが、勝負には勝ち負けがある、全てが思い通りの結果になるわけではない。でも、こういう狙いで戦おうとしていたとか、選手たちの戦う姿勢が伝わってきたという様な、この試合、今の状況にかけるザスパの狙いや思いが伝わってくるものであれば、「次こそは!」、「まだまだここから!」という気持ちにもなれるが、それすら、させてもらえなかった。
これまでもチームからは、「あとちょっと、もう少し」、「何かがかみ合えば」という言葉が繰り返され、武藤監督からも、「対策をしたが上回られた」、「相手から学ばせてもらった」といったコメントを何度も聞かされてきた。
「もう少し」、「あとちょっと」、「今度こそ」、「次こそ」私たちは何度もその言葉を信じて、チーム、選手と一体となるべく、次なる試合に向かっていったが、残り試合も含め、最重要ゲームと言ってもいい、昨夜の水戸戦で、また繰り返されてしまった。
選手たちが頑張っているのも知っている、勝利への強い思いを持っているのもわかっている、でも、この試合の重要性、そして、そこで見せられた低調なサッカー。その中身と結果に、私は、「また裏切られた。」と感じたのだ。
「それでも、ザスパ愛は続いていく。」
こんなにも傷つけられたのに。それなのに、むしろ、より強いものへとなりながら続いていく。私たちのザスパ愛は、結局は、独りよがりなクラブや選手への愛だとわかっているのに。また、裏切られてしまう怖さも抱いているのに。それでもザスパと歩みたい、選手と戦いたい、ともにゴールを!そして、勝利を!という思いをますます強くしながら、ザスパ愛、選手愛は続いていくのだ。本当に困ったものである(笑)
リーグはいよいよ残り10試合だ。最下位ザスパと残留圏17位熊本(30pt)との勝ち点差は、17pt差まで拡大してしまった。およそ6勝分(18pt)に広がったことになる。
正直、県民、ファン、サポーター、それぞれの中に、その時の覚悟はできていると思う。もちろん、可能性が続く限り、来季もJ2で戦うんだという強い思いは何ひとつ変わらないが、思うものはあるはずだ。
水戸戦も、ゴール裏では、どんな状況でも、サポーターの皆さんが、ゴールと勝利を信じて、声を枯らしながらザスパコールを届け続けてくれていた。試合後の挨拶の際には、厳しい言葉も飛んでいた様だし、武藤監督や櫛引政敏キャプテンと近い距離で思いをぶつけ合う瞬間もあった様に見えた。
応援する皆さんそれぞれに、今のザスパへ思いを伝える表現方法、言葉のチョイスはあるだろう。ただ、それぞれにザスパを愛する思い、選手を愛する思いがある事には違いはないはずだが、ザスパ愛をもって、選手、監督、クラブへのリスペクトは忘れることなく伝えて欲しいと私は願う。
一方、選手、監督、クラブには、こんな状況でも応援し続ける、ザスパ愛に満ち溢れた県民、ファン、サポーターのために、ゴールを届けて欲しい、勝利を届けて欲しいし、選手たちの、監督の、スタッフの、そして、ザスパ群馬というクラブの意地をここからの10試合で見せて欲しい。失うものなど何もないのだから、ザスパのすべてを出し尽くしてくれ。心配しないで欲しい。私たちは、どんなに裏切られても、どこまでもついていくのだから。