SASAnote ケガを乗り越え、V2優勝に向けた原動力に-群馬グリーンウイングス No16 安福若菜選手

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今シーズン、群馬グリーンウイングスにとっての明るい話題のひとつが、安福若菜の復帰だ。

2021-22シーズン終了後に、ケガで、ひざの手術を行い、1年以上、コートで試合をすることができなかったが、夏のサマーリーグで復帰し、リーグ戦でも、開幕戦からスタメンを張り、チームを引っ張る存在として奮闘を続けている。

リーグ前半戦、ここまでのチームの様子を聞くと、「チームとしては負けている試合もあるので、良いわけではないけれど、ひと試合、ひと試合、自分たちで課題を見つけて、それを克服できているので、成長できている部分もあると思う。チーム力も高まっていると思う。」と話し、チームとして積み上げが出来ている手ごたえを感じている。

一方で、ファンが気になるのは彼女自身の状態だ。その点について安福は、「個人としても悪くはないと思っている、やりたいことはやれている。」と話す。その上で、「グリーンウイングスは、ミドルのチームなので、自分たち、ミドル陣が決めないといけない。チームとしても、サイドの選手に決めてもらうためにもミドルの存在感が必要。」と力を込める。

今の所、ケガをした部分のコンディションも含め、問題なく試合に臨めている様だ。その上で、責任感をもって、チームのためにやるべき事、やらなければいけない事に集中している。

だが、ここまで来るには、思っていた以上に時間がかかり、苦しんできた。

「21-22シーズンは、もともとひざが痛い中でリーグを戦っていて、オフに手術をしようという事になった。最初は、昨シーズン(22-23)のリーグ戦に間に合うようにしようと思っていたけれど、結局、間に合わず、、、思ったより回復が遅れてしまった。」と当時の状況を教えてくれた。

昨シーズン、取材で体育館に出かけると、いつも笑顔で出迎え、声をかけてくれる安福の姿があったが、一方で、全体練習から離れ、ひとり黙々と、リハビリに努める姿があったのを記憶する。

安福は、「本当に、リハビリ期間はしんどかった、、、上手くいかなくて、、、バレーボールをやりたいけど出来ない、、、トレーニングしていると、アリーナからみんなの声が聞こえて、『やりたいなぁ』と思って、、、」と、あふれる涙をこらえながら当時の思いを話してくれた。

1シーズンをリハビリに費やし、バレーボールができる状態に回復し、今シーズンの夏のサマーリーグに向けて復帰をしようと準備を進めていたが、「バレーボールができるのか、プレーをしていてもできているのか、感覚が戻らなくて不安しかなかった。いつもなら相手コートが見えているのに全然見えない、ボールのスピードが間に合わない、外から見ていれば全然問題ないのに、いざコートに入ると『あれっ?』となってしまう。」と不安との戦いは終わることはなかったという。

それでも、そんな長く、苦しく、不安な時間を乗り切れたのは、彼女の強さであり、周りの支えだ。

「バレーボールを『やりたい気持ち』がリハビリとかを頑張れた。それに、苦しくて、チームメイト、家族、友達に、ネガティブな言葉を言ってしまった時も、逆にポジティブな言葉を返してもらえて頑張れた。」と話す。

サマーリーグへの復帰に際しても、「マルさん(丸山佳穂コーチ)とか、周りのみんなが、『できてる!できてる!大丈夫だよ!!』という声掛けをしてくれて準備をすることができた。」と周りに支えられ事に感謝する。

サマーリーグの試合でも、「出た時は、復帰の嬉しさよりも、大丈夫かなという緊張があった。それは、ケガよりも、プレーの心配で、私が試合に出て負けたと言われたくないプレッシャーがあった。」という。プレーするからには言い訳せず、自分の役割を果たすという責任感の方が強く出る。それもまた安福らしい。

復帰戦での思い出を聞くと、「初得点の時に、チームメイト、スタッフが喜んでくれてこのチームで復帰ができて良かったと思った。」と教えてくれた。それは、自らの頑張り、チームメイトをはじめ、周囲のサポートにも支えられ、安福若菜が困難に打ち勝った瞬間の様にも感じた。

リーグは年末年始の中断期間を終え、まもなく再開。グリーンウイングスにとっては、巻き返しを図る大事な後半戦が始まる。

安福は、「ここからは絶対に負けられない戦いになるので、勝ちにこだわってやりたい。チームとしても全員バレーになるので、出場するのも簡単ではないが、自分も負けずにやっていきたい。ミドルの決定打、決定率を高めてチームに貢献したい。チームとしても、オフェンスのチームなので、オフェンスでサーブから相手を崩し、自分の展開にできたら強いので、そうできるように頑張りたい。」と強い気持ちを口にする。

リハビリの間も、バレーボールの考え方を見つめなおし、視野を広げた。プレーでは、これまで以上にブロックにも意識し、シャットアウトだけでなく、ディフェンス陣と連携したワンタッチなど、様々に取り組んでいるという。また、名門・市立船橋高校から加入し、在籍6年目はチーム最長だ。チームの年齢構成でも真ん中になり、後輩たちにも目配り、気配りをしていかなければいけない立場だ。

ケガ明けのシーズンであり、自らの事もしっかり労わって欲しいが、安福自身は、それよりも、チームのため、仲間のため、そして、勝利のために全力で取り組んでいる。

取材の終わりに、改めて自らのコンディションを聞くと、「絶好調です!」と笑顔で答えてくれた。ならば何も言うまい。リーグ後半戦の巻き返し、そして、V2優勝へ向けて、確かな原動力になってもらうのみだ。

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