11月だというのに日差しは強く、暑さを感じる。そんな気候のもと、ザスパクサツ群馬は、今季最終節となるアウェイ・大分戦に向けた準備を進めている。練習場には、平日午前にもかかわらず、多くのサポーター、ファンの皆さんが駆けつけている。最終節に向かう選手たちにエールを送ろうと、有給休暇を使って駆けつけてくれた方もいるという。
そんなサポーター、ファンの皆さんが見守るグラウンドには、いつもと同じように大槻毅監督の声が響き、選手たちが精力的にトレーニングに励む姿がある。大槻監督の激や要求、期待や励ましは、いつもより語気が強く、思いが乗っている様に感じる。特に、テンポ感の部分や動き出しの部分、仕掛ける姿勢について選手たちにメッセージを送っていた。
大槻監督は、「もう一回、最後に何とか勝ち点3を取って終わりたい。今週も新しいことトライしているし、次の試合で出そうとしている。千葉戦では、『ここまでできた』というがあるが、一方で、この先またこれ出来るなとも感じた。今週もいいトレーニングができているので、試合で出せたらいい。」と話す。過去最高のシーズンを過ごしているザスパだが、直近は、山形、千葉と競り負け、今季初の連敗。残念ながらJ1昇格プレーオフを逃した。それでも、最終節は決して消化ゲームではない。
10位ザスパが9位大分に挑む最終節は、勝ち点2pt差の対決だ。ザスパが勝てば、順位が入れ替わり、ひと桁順位でシーズンを終える可能性が高い。また、勝利の勝ち点3を掴めば、勝ち点60の大台に乗ることになる。そして、勝つことで、J2では初めての得失点差もプラスのままシーズンを終えることができる。
プレーオフという新しい景色は見ることはできなかったが、最終節を勝つことで、我々がまだ見たことがない景色を見ることができるし、選手たちも、そこへのモチベーション、意識が強い。
大槻監督は、「勝てばひと桁順位、勝ち点60も見える。叶えたいものはすべて勝ち点3を取らないと叶わないし、1試合の重みは変わらないので、何としても成し遂げたい。」と必勝を誓っている。期待しよう。月並みな言い方だが、このチームで戦えるのもあとひと試合だ。
ザスパの立ち位置上、来シーズンに向け、選手の入れ替わりは避けて通ることができない。具体的な動きはシーズン後になるが、若手選手を中心に活躍した選手は、ステップアップしていくことになるだろう。喜ばしくもあり、やはり、悲しさ、寂しさがあるのは自然な事だ。この時期はいつも悩ましい。
大槻監督は、「このチームが最後という事で言えば、もっとこうすればできるのになぁ、時間足りないなぁという思いが強い。」と、このチームの可能性を口にする。
タラレバと分かっていても、このメンバー、このチームで、まだまだ時間が許されるなら、どんな魅力的なサッカーを届けてくれるのだろうか。そんな言葉を聞けば、より寂しさが募ってしまう。ただ、大槻監督は、「変わらないものだったり、ずっとあるものは価値がない。何か変わったり、壊れたりするから価値がある。永続的に続かないから、その瞬間、瞬間に価値がある。」とも話す。
時間は無限でなく、有限だ。限られた中で、結果を求めて全力で挑む姿に我々は感動を覚える。そこに価値が生まれるのだ。
ならば、限られた時間は、最終節の大分戦の試合終了の笛が鳴るまでだ。
クラブキャリアハイを成し遂げた今シーズン、選手、チーム、そして、全てのザスパファミリーとともに、ラスト1試合、90分間を全力で駆け抜け、数字だけでなく、2023シーズン・ザスパクサツ群馬の価値を最大限に引き上げて締めくくりたい。