SASAmemo 更なる成長と進化を求めるシーズンに-群馬グリーンウイングス・リーグ開幕プレビュー

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新生・群馬グリーンウイングスの新シーズンが、いよいよ開幕する。

来年秋からはじまる予定の新しいトップリーグ・S-Vリーグ移行をにらみ、今シーズンのV2女子は、入れ替え戦がない。だからと言って、どんな結果でもいいかといえばそういうわけにはいかない。むしろ、S-Vリーグ入りを目指すグリーンウイングスにとっては、これまで以上にバレーボールの内容を伴った結果が求められるシーズンになる。それは、チーム、選手だけではない。銀行を離れ、プロクラブとして新たな体制でスタートを切ったクラブにも、チームを支えるだけでなく、クラブとしての価値、魅力をいかに高められるか、こちらも内容と結果が求められる事になる。

V2女子という枠の中での結果に満足するわけにはいかない。目指すS-Vリーグという新たな場所に向かって更なる成長と進化が求められるシーズンが始まることになる。

チームは、齋藤真由美監督が2年目のシーズンを迎える。昨シーズン、メンバーを固定せず、全選手の特徴を生かし、チームとして戦う「全員バレー」のスタイルは、大きな反響を呼んだ。チームスポーツであるバレーボールにおいては、連携面での難しさはあったが、全員で立ち向かうスタイルはチームの結束を高め、シーズンを通して一体感をもって戦う事が出来たのが印象的だった。リーグ優勝こそ成らなかったが、V1・V2入れ替え戦行きを決めたルートインとの試合は、まさに全員バレーだから成し得た一体感での勝利だったと感じる。

今シーズンも、基本的な戦い方は変わらないが、新加入選手を迎え、選手のコンバートを行い、体制を整備した上で、昨シーズンの弱点克服、そして、強みを生かしたバレーボールでシーズンを戦うことになる。

新加入では、ルーキーながら昨シーズン内定選手としてすでに活躍している目黒愛梨、高卒で、攻守に安定感がある小嶋桃香が加わり、さらに、V1・NECから高い攻撃力が期待される吉田あゆみ、同じくV1・トヨタ車体からミドルブロッカーとしてアタック、ブロックで高いポテンシャルを誇る林田愛佳、そして、V2・GSS東京でセッターとしてグリーンウイングスを苦しめた角谷未波の3人が加入した。

既存戦力では、リベロだった栗栖留生がセッターに、アタッカーだった小林知加が高いレシーブ力を買われ、リベロ&レシーバーへの転向など、ポジション変更で、体制整備にも着手している。

また、長期のケガからの復帰シーズンとなるミドルブロッカーの安福若菜にも、大きな期待がかかる。ケガ前は、レギュラーとして活躍していた安福が復帰することで、ミドル陣はより強力なものになるだろう。

こうして戦力全体を見ると、ミドルを中心に強化され、攻撃面では昨シーズン同様、力強いバレーを見せてくれそうだ。一方で、昨シーズン苦しんだレセプション、そして、サーブがどこまで整備されたかが気になる所だ。

齋藤監督は、「レセプションには力を入れてきた」と話しているが、リーグ最下位に沈んだレセプションの改善なしにはリーグ優勝はおろか、勝ち負けを語るすることはできない。また、これまでチームの武器でもあったサーブ力も、昨シーズンは脅威を与えるものにはならなかった。レセプション、サーブと、バレーボールにおいても肝になる部分の改善無くして、勝利を掴むことはできない。

直近の公式戦である国体と皇后杯の関東ブロック大会では、実業団チーム、大学生チームに、ふがいない戦いで、敗戦している。長いリーグ戦を考えれば、ピークの持ってくるタイミング、チーム作りのタイミングにおいて、勝利、結果につながる時間もかかるだろうが、やはりS-Vリーグを目指すプロクラブとしては、言い訳をすることはできない。選手の好不調もあるだろうが、そんな時こそ、全員バレーで補いながら勝利という結果にこだわるチームに成長して欲しい。

そういう意味では、今シーズンは、V1から降格した姫路との対戦に注目が集まる。現役日本代表選手も加わるなど、メンツ豪華なチームである。S-Vリーグ入りに向けても、姫路の様なV1レベルのチームに、内容あるバレーを見せ、勝利につなげられるか。多くのものが求められる大事な試合になる。

誤解を恐れずに言えば、V2女子の多くのクラブには勝って当たり前、姫路、ルートインあたりのチームに内容でも、結果でも上回れるかどうか。そんな戦いが今シーズンのグリーンウイングスには求められるのだ。

もちろん、そうした高いものを求められるのはチーム、選手だけではない。群馬銀行から離れ、新たな船出となるクラブにも求められる事になる。

ぶっちゃけた良い方をすれば、運営主体こそ銀行からは離れたが、多くのスタッフは、旧体制からの継続で、大きな変更はない。現状、外部人材を迎え入れているという様子もない。それでも、多くの人々は、新たなプロクラブ、そして、生まれ変わった群馬グリーンウイングスとして見定めてくることになる。

銀行が母体だからこその経営力、安定感はクラブ運営にとって大きな武器になる。銀行幹部や行員の皆さんによる、手厚く、温かいサポートや応援は、このチームの大きな力になる。ただ、そこだけに頼っているわけにはいかない。クラブの見せ方、PR、特にホームゲームの演出含め、これまでと異なる新たな魅力を発信し、これまでとは異なるファンを獲得し、多くの県民の誇りとなるクラブになれるかどうか、そうした施策をどんどん打ち出せるかどうか、「グリーンウイングス、変わったね!」といい意味での驚き、そして、多くの人を笑顔にさせられる様になれるかどうか。こちらもS-Vリーグへ向けて、成長と進化が求められる大事なシーズンの始まりとなる。

群馬県内にあるプロスポーツをはじめとするスポーツ団体を見てきた時に、県民性や地理的、経済圏といった部分を含め、やはり長く、愛されるとしてチームを作り、クラブを運営していくことは簡単ではない。

先日の新体制発表会では、高らかにビジョンが示されたが、そうしたものを実現するためにも、今シーズン、どういう活動をしていくか、見定められるシーズンにもなる。もっと応援しよう、期待しようと思われるチームとしての戦い、クラブとしての運営を期待したい。

シーズンの始まりは、大きな期待があり、そして、どこか心配事、不安になる部分もある。V1昇格の無いシーズンの始まり、そして、どこかまだおぼろげに感じるS-Vリーグという目標に向かっていく戦い。でも、そんなモヤモヤしたものを晴らしてくれる一番の力は、新生・群馬グリーンウイングスの活躍であり、勝利であり、選手たちの直向きで、懸命なプレーとはじける笑顔以外にないと思う。そのためにも、ともに力を合わせ、グリーンウイングスという希望を大きなものにしていくのみだ。

シーズンは長い。選手たちには、ケガなく駆け抜けてもらいたい、そして、今シーズンも、最高のバレーを届けてもらおう。

<V2女子・群馬グリーンウイングス開幕節>

10月28日(土)12:00 JAぎふリオレーナ(長野県上田市・上田市自然運動公園総合体育館)

10月29日(日)12:00 フォレストリーヴズ(長野県上田市・上田市自然運動公園総合体育館)

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