群馬銀行グリーンウイングスにとって4度目となるV1への挑戦が始まる。今回の相手は、岡山シーガルズだ。
相手がどこであってもV1との真剣勝負は簡単ではない。ただ、今シーズンのチームが積み上げてきたもの以外に出すことはできない。チーム、個人の力をすべて出し尽くし、試合の流れ、勝負所を掴み、V1という新たなステージに辿り着きたい。
グリーンウイングスは、リーグ終盤の3連敗から立て直し、V2ファイナルステージ・ファイナル3で、ルートインホテルズ・ブリリアントアリーズに勝利し、V1との入替戦、V・チャレンジマッチへの出場権を手にした。ファイナルで、プレステージインターナショナル・アランマーレに、フルセットの末、敗れ、優勝こそ逃したが、リーグ終盤の状況を考えれば、短期間でチームを立て直し、チームの調子は上向いていると言っていいだろう。
今回、入れ替え戦で対戦する岡山シーガルズは、前身の企業チームを引き継ぎ、岡山市をホームタウンとする市民クラブとして、1999年から活動をスタートし、長くVリーグのトップカテゴリーで戦う、力のあるチームだ。プレミアリーグ時代の13/14シーズン、そして、19/20シーズンには準優勝も果たしている。
経験豊かな指導者である河本昭義監督のもと、オーソドックスでありながら、フロアディフェンスを中心に、拾って、拾って、拾い続ける、粘り強いバレーボールがチームカラーと言える。
今シーズンも、上位チーム相手にフルセットに持ち込む試合も多かったが、勝利につながらず、僅かな差でリーグ11位となり入れ替え戦に回ることになった。
チームの顔は、2016年リオ五輪・日本代表セッターでもある宮下遥選手だが、宮下選手だけでなく、元日本代表で、Vリーグ230試合出場選手に贈られる「Vリーグ栄誉賞」を受賞している川島亜依美選手、2023年度日本代表登録メンバーにも選ばれた佐伯亜魅加選手、タイ代表のタナッチャ・スークソッド選手、日本代表登録メンバー入りの経験がある金田修佳選手や宇賀神みずき選手、若手の中本柚朱選手、高柳有里選手、リベロの船田芽依選手など、個々の能力が高く、タレントも豊富なチームだ。
チームスタッツで見ると、ブロック決定本数は、12チーム中、6位の1.99本と高く、ブロック力、そして、フロアディフェンスを中心とした守りのチームなのは変わらない。
攻撃面では、アタック決定率が34.4%でリーグ最下位で、バックアタック本数もわずかだ。攻撃のバリエーションは多いチームではない。さらに、サーブ効果率も6.6%でリーグ10位と高くない。
グリーンウイングスとしては、サーブで攻め切り、相手の攻撃をさらに限定させることで、今シーズンの特徴でもある多彩で、力強い攻撃につなげたいところだ。
攻撃では、ハンタヴァ・エヴァンゲリア選手を中心とした力強いアタックはもちろん、白岩蘭奈選手や、道下ひなの選手、菊地実結選手といった、スピード、キレで勝負する選手たちが、相手を揺さぶり、堅い守りを打ち崩せば、勝機を見出せるはずだ。
とは言え、繰り返しになるが、相手はV1チームだ。これまでの入れ替え戦の戦いを振り返っても、やはりひとつひとつのプレーがV2とは違い、正確で、ミスがない。そして、こちらがミスをすれば、そこを突き、一気に流れを持っていかれてしまう。
さらに言えば、入れ替え戦は、2試合合計の結果で決まる。初戦を取れたとしても、翌日に立て直されて、2戦目を取り返されてしまうこともある。2試合続けて、グリーンウイングスの良さを出し切り、ミスをせず、勝負に勝たなければいけないのだ。V1への道は本当に厳しい戦いなのだ。
それだけ、この戦いに勝つことは、価値がある事であり、今シーズンのチームがやってきたことの素晴らしさを証明する事にもなる。斎藤真由美監督を迎え、全員バレーをモットーに戦い抜いてきた。チームの結束は右肩上がりで高まり続けた。その姿に共感、共鳴する応援の輪もどんどん大きくなっている。
今さら特別なことはできないが、他にはない、今シーズンの群馬銀行グリーンウイングスが積み上げてきたものは出すことができる。
今シーズンも、あと2試合。やり切ろう、出し切ろう、そして、V1への扉をこじ開けよう!