SASAnote Vol.11 ザスパクサツ群馬2021シーズン始動~新たな時代を作る始まり

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「全体で揃ってやるのは気持ちがいい。いよいよ始まったというワクワク感と楽しみでいっぱいだ。選手たちも秘めた思いをピッチに出してくれた一日になった。」

2021シーズンの最初の全体練習を終え、奥野僚右監督はそう語った。

昨シーズンは、苦しく、悔しい時間の方が多かったかもしれないが、我慢しながら続けたことで、今シーズンにつながる希望を見出すことに成功した。スタイルの継続をベースに、新加入選手と言う新たな力も加わった。だが、それだけで満足していては高みを目指すどころか目標達成も難しいだろう。継続をベースに、更なる進化を、そして、結果にこだわりシーズンを戦い抜き、新たなザスパを皆で作りたい。

ザスパ3シーズン目になる地元・沼田市出身の田中稔也は、「奥野監督の下で成長できたので、もう1年ザスパでやらせてもらう事にした。」と契約更新の理由を説明した。そして、練習初日を振り返り、「新加入選手も、既存の選手が上手くコミュニケーションも取れていたと思うし、雰囲気は、明るく、楽しくやれた。新加入選手は、運動量がある選手が多く、技術がしっかりしている選手ばかりという印象。」と述べた。また、「奥野さんのサッカーを知っているので、新加入選手にも教えていきたいし、上手くチームを引っ張る存在になりたい。」と話すなど、今シーズンは、自身のパフォーマンスはもちろん、チームを牽引する役割にも意欲を見せた。

その新加入選手のひとりで、J2大宮から完全移籍で加入した畑尾大翔は、「チームは若い選手も多くて、一見、髪の色とかもあって、、、お調子者が多いのかな?と思ったけど、みんな真面目で、素直な選手たちでした(笑)」と若手の印象を述べた。自身は、早稲田大を卒業し、2014年にJ1甲府に加入。当時は、J1残留すべく必死に戦っていた。そんな当時を思い返し、「ルーキー時代、ベテランの選手たちが作ってくれる空気感で、『残留できる』雰囲気を作ってくれた。それがベテランの仕事だし、自分の性格的にも向いていると思う。」と、同じような役割を果たしたい思いを口にした。

継続選手、新加入選手、それぞれに練習初日の雰囲気を感じつつ、また、新チームにおける自分の役割も意識しながら新シーズンへと入っていった。

2シーズン目の指揮となる奥野監督は、「1年間継続して一緒にやってきた仲間たちが数多くいる。共通理解をもってスタートきれるのでスムーズだ。コンセプトの落とし込みに関しても、僕の頭の中で考えていることも伝えやすい。継続性を持てたのは嬉しい限りだ。」と感想を述べた。昨シーズンは、選手のみならず、監督、スタッフ、強化などチームを取り巻くすべてがイチからのスタートになった。「頭でわかっていても。体が連動しない状態だったが、最後は自然な状態で表現できるようになった。今年は、アドバンテージがある分、別の所に目を向けられる。早め早めに進めていきたい。」と話し、「より実践的な形で行いたい。来週には紅白戦なども行いたい。新加入のポテンシャル、能力を見極めたい。」と、前日の会見でも話していたように、チームをいち早くトップコンディションに持っていき、開幕を目指す考えだ。

選手たちも、「継続」の優位性に安穏とはしていない。田中は、「去年と同じではスタメンから外される。もっともっと、プレーの質にこだわり、ミスをしない事を突き詰めないとポジションは取れない。練習から1日、1日を大切にやりたい。」と意欲的だ。畑尾は、「去年、対戦して、もっと上にいてもおかしくないサッカーをしていた。体を張って守れるか、前の選手にストレスなく攻撃してもらえるか。その為にはコミュニケーションをとる事やお互いを理解する事が大事になる。自分の特徴を知ってもらい、みんなの特徴を速く知る事が大事。」と、奥野ザスパの理解を急ぐ。

ザスパの歴史を振り返れば2005年のJ参入からなかなか成績が上向かず、長く、厳しい時間を過ごしてきた。今季は、奥野監督の続投、エース・大前元紀の契約更新が他の選手にも好影響を与え、主力の多くが契約を更新した。そして、シーズン終盤に結果を出したスタイルが継続されるという、いつにない手ごたえをもって挑むシーズンになる。まずは、クラブとしての過去最高を更新する勝ち点50、16位が目標になるが、選手たちはさらに上を目指して闘志を燃やしている。

田中は、「上を目指してチーム全体でやれれば、上位を目指せる。ひとりひとりが『上に行くんだ!』という気持ちをもって取り組んでいきたい。」と話し、「ザスパに来てから開幕戦で勝ったことが無い。ホームでサポーターの勝利を届けたい。」と、開幕・秋田戦での必勝を誓った。また、畑尾は、「夢を見すぎって思われてもいいから、やるからには上を目指し、昇格、優勝を狙っていきたい。それをチームとしても作っていくことができると思う。その中で、自分の経験を後輩たちに伝え、先輩たちとコミュニケーションを取りながら、チームとしてプロの集団になるために力を発揮したい。」と頼もしい言葉を残してくれた。そして、奥野監督は、「チーム目標があるので昨年達成できなかった数字をクリアしたいというのと同時に、スタートから最高の形のゲームを発揮できるように、とにかく早い段階でトップコンディションに持っていき、チームのパフォーマンスを表現したい。継続性を持った中で、安定した戦いを見せられるチーム作りと成果を求めていきたい。」と話した。

チーム、選手が、強い自信と意欲を持ち、上を見て戦おうと言うならば、県民、ファン、サポーターは、それを力強く後押しし、共に進むのみだ。ザスパクサツ群馬の新たな時代を作る2021シーズンが、いよいよ動き出した。

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