SASAmemo 次なるシーズンを迎えるためにーザスパクサツ群馬

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Jリーグは2022シーズンの全日程が終了し、各クラブ来季に向けた動きが本格化しつつある。J2は例年よりも1カ月ほど早くレギュラーシーズンが終了し、ザスパの立場で言えば長い、長いオフを過ごしている。ファン感やスポンサー挨拶などはあったが、シーズン直後にチーム活動は終了しており、そっとオフに入っていった印象だ。そんなザスパのオフの動きは、静かなままだ。

19年に加入し、ザスパをJ2復帰に押し上げた渡辺広大の契約満了発表は、大きな衝撃を与えたが、来シーズン、どういうチームになるのか、まだまだ全体の大枠は見えていないのが実情だ。

新加入では、大卒ルーキーとして、専修大学のDF菊地健太、関東学院大のFW岩元ルナの発表があったが、Jリーガーの加入発表はまだない。

一方、退団者は、渡辺のほか、期限付き移籍していたFW進昂平(J3・愛媛)、DF光永祐也(関東1部・VONDS市原)、FW一木立一(九州・沖縄SV)の契約満了が発表されている。

この中で、個人的に驚いたのは一木の契約満了だ。

地域リーグとは言え、18試合22得点の活躍で得点王に輝いた。チームも九州リーグを優勝し、JFL昇格を目指して、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ・決勝ラウンドにも導く活躍を見せた。彼ができる最大限の結果を残した。また、桐生市出身で、太田高校卒と群馬県人プレイヤーでもある。それでもザスパは一木を残さなかった。2シーズンのうち、ザスパでのプレーは、1年目の半年間のみ。武者修行を経て帰ってきた彼をせめて1シーズン、ザスパの中で見て欲しかったし、チャンスを与えて欲しかったというのが、ひとりのファンとしての気持ちではある。残念だ。

その上で、ザスパの来シーズンがどういうチームになるかだ。

基本路線は、大槻毅監督の継続だ。となれば、やはり選手側が入れ替わることになるだろう。

とは言え、予算規模の小さいザスパでは、大盤振る舞いはできない。それでも、シーズン最後のインタビューで、大槻監督は、「継続してやることができれば、今年のベースに乗せることはできるし、それはやらなければいけないと思う。1年でスクラップ・アンド・ビルドをやると継続は難しくなる。編成として、クラブがどうしたいかビジョンをもたないといけない。当然、クラブの予算規模は小さいが、少ない予算をメリハリをつけてどこに投資するかをやっていかないといけない。それがクラブ力になり、チーム力になるし、結果に表れると思う。そして、それを継続していかなければいけない。」と語っている。

そうなれば、今シーズンの大槻スタイルは継続され、よりそのスタイルが表現できる選手構成での編成になるだろう。今あるベースにまんべんなく上澄みを図るのか?それとも、主力級も含め、よりメリハリをつけ、少数精鋭の様な編成をするのか。資金面を考えると、ある程度、出場機会があっても、主力級でもチームを離れることもあるのではないかと考える。

チームの戦いから考えると、課題のひとつが得点力の低さだ。ただ、この部分については、フィニッシャーの精度もあるが、高い位置でのボール奪取、そこから運ぶ力、連動して得点機会を作る事が少なく、チャンスを作れなかったことの方が問題だったと考える。運動量や献身性、それとともに、周囲との連動力のある選手が重用されるように感じる。

他方、1点差負けの多さも課題だった。チームサッカーを表現できる存在も大事だが、一撃必殺の仕事ができる巧さを持ったストライカーの存在も重要だろう。例えば、大前元紀の様な。今シーズンは、1点が欲しい所で、点が取れないもどかしい時が多かった。そうした部分で、勝ちや勝ち点を取りこぼしたと感じている。

また、チーム目標である、「勝ち点50、16位以内」のチームになるためには、得点、失点を切り分けて考える事よりも、得点と失点のバランスを取れたチームになることが重要だ。具体的に言えば、得失点でー10以内に抑えるチームになりたい。

今シーズンのザスパは、得点36、失点57、得失点-27という数字だった。例えば、ザスパよりも総得点が少ない栃木(得点32)でも、得失点-8で17位、ザスパよりも失点数が多い、金沢(失点69)は得失点-13で14位でフィニッシュしている。

もちろん、サッカーのスタイルもあるので、この辺りは口で言うほど簡単ではない。ザスパで言えば、つなぐ部分の理想を必要以上に追いすぎず、長いボールも効果的に使うなど、局面に応じた柔軟さを持ったサッカーを体現したいし、その判断ができる選手編成をしたい。

資金力がないことが常にザスパに付きまとうが、ザスパの切り札は、大槻監督というカリスマの存在と、1年後に完成が見込まれる占有の練習環境だ。特に、練習環境の大幅な改善は大きなアドバンテージになる。J2、J3のクラブには、ザスパ同様、自前の施設はもちろん、占有の天然芝グラウンドを持たないクラブも少なくない。特に、ケガがちで、足元に不安のある選手は練習環境を重要視すると聞く。ザスパが持つ、ポジティブな要素を口説き文句に、より理想に近いチーム編成を実現させたい。

こうしたチーム編成も大事だが、やはり、クラブが安定すること、しっかりとした経営力を持つこと、そして、チーム、地域、スポンサー、ファン、県民、サポーターを巻き込んでザスパファミリーの輪を大きくできるかどうかが何よりも重要だ。

ザスパを取り巻く現状は、難しい状況にあると言わざるを得ない。チームの成績以上に、クラブの名称問題をはじめとする、今後の草津ブランドの方向性、そうした事を含めた、クラブの情報公開や説明不足、SNSなどでの不用意な発言など、不信感が高まる方向に矢印が向くことが多くなっているように感じる。今シーズン、社長に就任した石井宏司社長も、当初は、情報開示をしながら、周囲を巻き込むスタイルが評判だった、そうした行動がパタリと止まってしまっている。今こそ、社長自らが、ザスパを応援する人たちと向き合い、語り、ひとつにして欲しい。

Jリーグクラブは、一般企業、さらに、他のスポーツクラブよりも、多くの部分で、オープンさを求められる傾向にある。ただ、クラブもまた、一企業であり、守秘すべきこともあるし、すべての人の声を反映することはできない。その上で、クラブは、様々な声に耳を傾け、そして、ザスパの進むべき道を明確にし、示し、理解を得る努力をしなければならない。そして、クラブとファン、サポーターが、互いに理解を深め、多くの人が応援したくなるザスパへと作り上げていく必要がある。対立や衝突が生まれるようなことになれば、プラスの事はなにも生まれない。ネガティブな噂が広がるだけで、選手も、スポンサーも、応援の気持ちも、何もかもが遠ざかるばかりだ。感傷的になる部分もあるが、皆が理解すべき大切な部分だと思う。

話しは逸れたが、そうした後支えのもと、最後は、チーム、選手が体を張って頑張ることになる。来シーズンこそ、「勝ち点50、16位以内」の目標を達成するためにも、ザスパファミリーそれぞれが、理解と協力を深めたい。そのためのチーム編成を期待したい。

 

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