「走ったと思ってもらえているかもしれないが、ゴールを決めないといけない。戦う上で気持ちの部分は大前提。あれをベースに結果を出さないといけないと思う。」
最高気温が40度を超える日が度々ある暑さ厳しい1週間だった。その中で、新潟戦のスタメンを勝ち取った髙木彰人は、90分間、最後の最後までザスパのゴールのために、勝利のために走り続けてくれた。だが、髙木からも、他の選手からもゴールが生まれることはなく、ザスパは、0‐2で敗れた。
リーグ2位と好調の新潟をホームに迎え、ザスパは、一泡吹かせ、チーム浮上の弾みにしたかったが、試合開始早々の3分に失点、さらに、16分にも失点した。一泡吹かせるどころか、逆に、試合開始早々から強烈なパンチを2発くらう厳しい状況になってしまった。
序盤の失点について髙木は、「立ち上がりで失点して、前にかかって、またやられた。失点したのは仕方がないし、時間が残っていたので、切り替えられたらよかったけど、慌ててしまった。2失点目は自分たちを苦しくしてしまった。前半の飲水タイムで修正には入れたが、それまでの間に、自分たちで修正しなければいけなかった。」と、十分な対応ができなかったことを悔やんだ。
今季も、得点力不足に苦しんでいるザスパだが、チームはここ5試合で1得点のみ、直近、4試合連続無得点と深刻な状況だ。
得点力不足解消のために、髙木は、「(ゴールチャンスの)回数を増やしていかないと、点が入る確率が増えない。まずは、回数を増やす。それと、そこで決めきらないといけない。」と考えている。
新潟戦でも、時間とともに、ボール保持の時間が増え、連動してボールを奪い、そこから、チャンスシーン、決定機も増えていった。しかし、それでもゴールは遠かった。
「ここ数試合も回数は増えてきているが、点が入っていない。サポーターにはゴールで応えたいし、点を決めないと勝てない。回数を増やし、決めきらないといけない。個人としても、そういう所で決めきる選手になりたい。個人の崩し、精度、アイディア、強引さというのが大事になる。」と髙木は話す。
得点力不足も気になるが、結果につながらないのは、ゲームの勝負所を引き寄せられない部分にあると感じる。新潟戦でも、ゲームの入り、相手の最初のCKが失点につながった、強敵を相手に追いかける展開は、どうしてもゲームが難しくなる。やられてはいけないところをしのぎ切れず、チャンスの場面で奪いきれない。ゲームコントロールが思い通りにできないことが、勝ち点を積み上げられない原因につながっていると感じる。
髙木は、「みんな経験もあるし、『こうしよう!』という意見は持っているし、チームとしても、しっかり確認しているが、疲れとかで寄せきれていない部分もある。組織の前に個人でやられると組織にならなくなる。1対1はサッカーの醍醐味でもあるが、やはり局面で負けないことが大事だと思う」と、個人局面の重要さを口にする。
ゴールが遠く、結果につながらない日々は、ザスパに関わる皆にとって辛く、重苦しい時間に他ならない。悩み、迷い、怖さも生まれることになる。だが、それでは状況は何もよくならない。
「チームが勝ててなく、良くない状況だが、その現実を受け止めつつも、マイナスではなく、プラスに考えれば、大胆さにつながると思う。実際、調子のいい時は何も考えなくてもいい結果につながるし、体も勝手に動く。そういう状況に持っていくにはメンタルが大事。現実は受け止めつつ、自分をポジティブに、奮い立たせなければいけない。」と苦しい時ではあるが、強い気持ちで前に進もうとしている。
髙木は、天皇杯・浦和戦では決勝ゴールを奪うなど名を揚げた。だが、ザスパでは2シーズン在籍し、リーグ戦で1得点しか上げていない。今季は、まだノーゴールだ。
「試合に使ってもらっているが、自分がスタメンの選手だとは思っていない。与えられた時間でやらなければいけない。まだ試合数も残っている。マイナスになるぐらいなら、より自分らしさを出して、後悔だけは残さないようにというのを心掛けている。一戦必勝で、与えられた時間で結果を出したい。」と思いを口にする。
ザスパの戦いはいつも苦しく、困難ばかりだ。だが、皆で走り続け、力を合わせて乗り越えてきた。『後悔だけは残さない』そのためには、これからも走り続けるしかない、やり続けるしかない、そして、ゴール、勝利を掴むまで、ともに戦い続けるしかない。