5試合ぶりのホームゲームとなった相模原戦で引き分け、久々の勝ち点1を積んだザスパだが、状況はより一層、困難になっている。順位は18位へ後退し、最下位・沼津とは勝ち点差7のままだが、19位・讃岐とは、勝ち点、得失点差で並び、総得点数でなんとか上回っている状況だ。
相模原戦では、山口一真の復活同点ゴールがザスパにとっての希望にもなったが、この試合も、いつもと同じようなパターンでボールを失い、ピンチを招き、先制点を許すなど、結果はおろか、内容面でも、目に見える改善、向上がない。さらに、チームの得点源である髙澤優也、中島大嘉の二人が負傷し、厳しさが増すばかりだ。
現状を問われ、守備の中心である大畑隆也は、悔しい思いを口にする。
「結果がなかなか出てなくて、勝利が取れていない、もどかしい。ファン、サポーターに申し訳ない思いでいっぱいだ。『点が入っていれば・・・』で、負けが続いている。チームの雰囲気が悪くなっているわけではない。勝てば良くなると思うし、それができる選手もいる、結果を出して勢いに乗りたい。」
攻撃的スタイルを追い求めている中で、守備陣の負担は変わらず大きい。それでもこのサッカーを体現するために、さらに個人としてできることがあると考え取り組んでいる。
「攻撃的とはいえ、失点がかさむと勝てない。これまで、個人の能力、判断の所で守れるところはいくつもあった。攻撃に枚数を掛けているから失点していいわけではない。攻撃が点を取ってくれると信じて、少しでも失点減らして、勝ちに繋ぎたい。」
今のスタイル上、全体練習の中で、守備オンリーで使える時間はどうしても少ない。守備の選手たちは、全体練習後、コーチ陣とともに守備の考え方、連携面をさらに良くしようという取り組みを続けているし、その機会は、開幕当初に比べ格段に増えている。もちろん、守備は全体の事なので、守備の選手たちだけすべてが解決できるわけではないが、出来ることを直向きに取り組んでいる。こうした努力が、チームを支え、勝利につながるものと信じたい。
一方で、超・攻撃的スタイル掲げながら、ゴール数は誇れる数とはいえず、当然、勝利も増えない。
総得点36得点はリーグ7位と、とても攻撃的スタイルのチームとは言えない数字だ。さらに、引き分け試合が10試合はリーグ最多タイ、1点差負け試合は、13試合の負け試合のうち8試合に上る。あと1点、もう1点取れていれば、勝利数が増えていた、もっと勝ち点を拾えていた、そんな試合ばかりが続いている。
そんな結果を見て、自らのクラブを「攻撃的チームです!」と言うには恥ずかしい数字であり、改めて今年のチームの勝負弱さを感じてしまう。
シーズンを通じて、攻撃陣、特に中心的な活躍が期待される選手にケガ人が多いのは誤算であるが、若手選手の成長も促しながら、結果に繋げていくのもこのチームのテーマでもある。ケガ人が多い分、出場チャンスをつかんだ選手も多い。今こそ、勝利につながる活躍を見せて欲しい。
大卒ルーキーの小西宏登も、シーズン序盤にチャンスを掴み、印象的なプレーで、ゴールも奪ったが、軽度のケガをして、復帰してからはもどかしい時間を過ごしている。
「チームとしても厳しい状況が続いている中で、個人としても上手く言っていない。早く結果に繋げて、連勝して終わりたい。個人として、攻撃の部分で目に見える数字、結果が、必然的にチームの勝利につながると思っているので、もっとそこにフォーカスしたい。ドリブル、クロスの特徴をもっと見せたい。」
相手チームも、「小西にボールが入れば危険だ!」というのは、前半戦の活躍でわかっている。十分に対応し、仕事をさせず、入るボールを狙っている。だからこそ、今度は、小西がそこで上回らなければいけない状況にある。
「結果が出ていないのは、自分のコンディション不足。すぐにでも、前半戦以上のクオリティを見せたい。途中出場でも、相手に脅威を与えるプレーを見せられるようチームとすり合わせている。(攻撃の選手にケガ人が増え、ゴールやアシストの期待があるが?)自分もそれくらいの事をやらなければいけない立場だ、結果を残してチームを救いたい。」
この状況で、ゴール、勝利を増やすにはどうすればいいのか。今さら新しい事をはじめても時間がなく、上手くいくとは到底思えない。多少の粗はあっても、やってきた中での強みを出し、90分で相手を上回れるか。そこなのだと思う。結果が出ず、不安な気持ちになるのはわかるが、今の状況を良くできるかどうかは自分たち次第だ。「誰か」ではなく、「皆が」やらなければいけない、「誰が」ではなく、「自分が」やらなければいけないのだ。
ある意味で昨シーズン以上に苦しんできたシーズンだが、それでもスタイルを曲げずに貫き通してきた。チームとしてのベースが変わらない中で、愚直に取り組んできたからこそ生まれる選手個々の成長力を発揮して、目指す「超・攻撃的サッカー」を体現して欲しい、そして、信じて声を枯らし続けるサポーターの思いに応えて欲しい。
次節は、再びアウェイで、5連勝と絶好調のFC岐阜と対戦するが、相手云々ではなく、より自分に向き合い、ザスパのサッカーを見せて、圧倒し、ゴールと勝利を届けて欲しい。
