SVリーグ・2シーズン目の開幕を1か月後に控える群馬グリーンウイングス。坂本将康GMが新監督に就任し、外国人選手含め、選手構成も大きく入れ替わり、新チームは、継続よりも、刷新された印象が強い。その中で、選手から新たな立場で、新生・グリーンウイングスを支えるとともに、次なるキャリアをスタートした二人に話を聞いた。
松尾奈津子は、2020-21シーズンの途中にグリーンウイングスに加入し、セッター、キャプテンとして、グリーンウイングスのV1挑戦、そして、SVリーグ1年目の戦いを支えてきた選手だ。
「昨シーズンは、30歳という節目もあり、ひとつの区切りになると思っていた。シーズンが終わってどういう感情になるのかと思いながら過ごしたシーズンだったが、終わってみてスッキリ引退、辞めようと思った訳ではなく、完全燃焼したかと言えばそういう訳でなかった。」
厳密に言えば、松尾は「引退」という言葉を使っていないが、選手からジュニアチームコーチという立場で新シーズンを迎えることになった。
キャリアを振り返れば、厳しさ、難しさの方が多かったように感じる。大卒で加入したチームでは解散、廃部を経験、地域リーグを経験し、グリーンウイングスに加入したが、新型コロナウイルスが蔓延し、バレーボールができるのかどうかもわからない社会が混乱した真っ只中だった。その後、キャプテン、セッターと重要な役割を担いながら、V1昇格を目指し、ライバルとの激しい戦い、そして、分厚いV1の壁に何度も挑み続けてきた。どれだけ心身をすり減らしてきた事か、察するに余りある。
でも、その経験が、松尾のバレーボールへの思いをより強くし、グリーンウイングスへの愛も深まっていったという。
「社会人になってからV2、地域リーグ、SVリーグまで、いろんなカテゴリーを経験させてもらえた。社会人になった時は、『3年くらいで現役はいいかな』と思ったが、廃部を経験して、バレーボールができる環境や、周りの支えがあってバレーボールができると追う事を強く感じた。身体が動くまでバレーボールをやる事がいろんな人への恩返しにもなると思ったのでその経験は大きかった。」
「グリーンウイングスは、幼い事からの夢だったVリーグでやりたいという思いを叶えてくれたチームなので思い入れは強い。それに、今まではデータを使ったり、相手の対策などをするバレーボールをやってこなかったので、新鮮だった。成長するチームに所属でき、自分にも合っていた。そして、すごく良いチームで、環境も良いし、スタッフも熱量があり、温かい人ばかりで、選手もすごく良い子たちが多く、一緒にバレーボールをするのが楽しかった。だから、そういうのもあって、スタッフで残ろうと思った。」
「グリーンウイングスが好きなのでそこに関われる、力になれるのであれば自分のできることをやりたいと思った。」
選手としての思い、託される役割、そこには違いがあったかもしれないが、グリーンウイングスへの思いが、松尾を新たなステージへと進めたように感じる。
今シーズンの役割は、ジュニアチームのコーチだ。松尾自身も、長くバレーボールを続けてきて、指導への思いも持っていた様だ。
「もともと、20数年バレーボールをやってきて、いろんな方にお世話になり、教わったことを次の世代に伝えることは大事な事と思っていた。選手を辞めた後もバレーボールに関わる仕事をしたいと思っていた。」
ただ、指導者としては1年目、ジュニアチームへの選手たちへの指導では、教えることの難しさを感じている。それでも、グリーンウイングスでの学び、次の世代へバレーボールの楽しさを伝えたい思いを大切にしている。
「めっちゃ難しい!特に、伝えることは難しい。伝えたいことが違う風に伝わる事もあるので、言葉選びも難しいと日々感じている。ジュニアチームは、丸山佳穂監督が、考えてやるバレーを大事にして、いろんな選手が活躍できるようにやっている。若い年代のうちにできることは素晴らしい事。私も、グリーンウイングスでは、マッチョさん(斎藤真由美監督)になって考えるバレーボールを大事にしていたので、その事を意識しながらやっている。そして、選手たちが何を上手くなりたいと思っているのか、それを叶えるためどうしてあげたらいいかを考えてやっている。」
「バレーボールを好きでいて欲しい、私たちの頃は、やらされて、やることが多かったし、怒られないためにやるが多かったが、自分で考え、上手くなりたいと思い、挑戦して欲しい、そんな選手になって欲しい。」
簡単な道のりではなかったが、自らの努力とともに歩んだ仲間、そして、支えてくれた皆さんの力も借りながら、憧れの舞台であるSVリーグまでたどり着いた。そんな経験を伝えていってくれるだろう。
グリーンウイングスでの役割は、選手からジュニアチームコーチへと変わったが、もちろん、ジュニアチームだけでなく、後輩となるSVリーグ2シーズン目を迎えたトップチームへの期待も大きい。
「新シーズンのトップチームは、能力が高い選手が多いし、新たな外国人選手も加わり、どういうチームになるのか楽しみにしている。勝って、順位が上がって欲しいし、グリーンウイングスから日本代表が出るようなチームになって欲しい。」
新チームがどんな景色を見せてくれるのかという期待もある。そして、新たな役割でスタートを切った松尾奈津子にも、引き続いて、トップチームのサポートとともに、自らの経験、そして、グリーンウイングスの愛を次なるグリーンウイングスのヒロインたちにも注いでいって欲しい。


