「チームの雰囲気は、みんなすごくフレンドリーでよく話をしてくれる。だから私も楽しくできている。若い世代もいるし、私の様に移籍してきた選手もいる、そして、長くグリーンウイングスを支えてきた選手もいる。新チームはいろんな立場の選手がいるので、上手く合わされば、すごく良いチームになるんじゃないかと思う。」
合流から1週間だが、山下遥香は早くも、群馬グリーンウイングスの一員として馴染んでいる。そして、これから始まる新たなチャレンジにワクワクしている様子が伝わってくる。
大阪市出身の山下は、大阪女子短期大学高校(現・大阪緑涼高)を卒業後、京都橘大学を経て、2018/19シーズンに、PFUブルーキャッツ(現・PFUブルーキャッツ石川かほく)の入団が発表され、内定選手としてVリーグデビューを果たした。
その後、PFUの中心的なセッターとして活躍。2023年の黒鷲旗ではチーム優勝に貢献し、自身はベスト6を受賞した。確かな成長がチームの力となり、結果でも示してきた5シーズンだった。
そして、昨シーズンは、地元であり、国内女子バレーの強豪・大阪マーヴェラスに移籍し、SVリーグ初代女王の一員として過ごしてきた。
そんな、彼女が、次なる戦いの場所に選んだのが群馬グリーンウイングスだった。
「大阪でも、毎日、すごく刺激的で、成長できる環境、充実した時間を過ごせていたので迷ったが、今の自分の年齢と、残りのバレー人生を考えた時に、環境を変えて、挑戦する、自分にしかできない事があるのかなと考えて群馬を選んだ。」
トップカテゴリーでの経験値が少ないグリーンウイングスにとっては、彼女の加入は心強い。山下が経験してきた、この舞台で力を発揮し、勝つために、タイトルを掴むためには、どんな取り組みが必要で、どんなバレーボールが求められるのか。そうした基準を上げてくれるという期待がある。
「違うチームから来たからこその気付きはあると思う。言葉にするのは得意ではないが、みんなとコミュニケーションを取り、しっかりプレーで魅せたいと思う。大阪が優勝した経験を活かして、チームに還元できればいいと思っている。」
山下にとっては、新しいチャレンジであるとともに、坂本将康ヘッドコーチ、髙相みな実キャプテンなど、PFU時代に、ともに時間を過ごしてきた仲間との再会、そして、また一緒に目標に向かう始まりにもなる。
「坂本さんや髙相選手は、懐かしいし、もう一度一緒にできて嬉しい。一緒にいろいろな経験をしていけたらいいと思う。髙相選手とは、5年間、一緒にやっていた。仲はいいし、彼女の良さを引き出せるように頑張りたい。今シーズン、彼女はキャプテンもやっているのでプレー以外の面でもサポートしたい。坂本さんは、最初の印象が怖いかもしれないが、真顔でふざける面白い人。そして、指導者としては、バレーの細かい所まで指導してくれる人。」
新しい環境にはなるが、温かく迎え入れる多くの人がいて、慣れ親しんだ人たちもいる。山下の良さは、グリーンウイングスのコートで、どんどん出てくるだろう。
グリーンウイングスのファンも、山下への期待は大きい。セッターというポジションを考えても、チームをまとめ、牽引し、浮上させてくれる役割を期待している。もちろん、山下自身も、そうした思いを強く持っているし、イチ、プレイヤーとしても、強い思いをもって挑む覚悟だ。
「トップカテゴリーで6年やってきたが、全然満足できる結果を残せていない。昨シーズンも、チームは優勝したが、私はコートに立てていなかった。自分がコートに立ってチームを勝たせる選手になりたいと思っている。グリーンウイングスは、昨シーズン、リーグ最下位だったが、ここから上位に勝っていけるチームを作り、チームとともに、自分も成長できる様になりたい。」
そして、山下の活躍を多くのグリーンウイングスファミリーが楽しみにしているように、山下もまた、グリーウイングスのファンと共に過ごす時間を楽しみにしている。
「グリーンウイングスは、すごくファンが多い印象があった。観客動員数も、リーグの中でも多くてすごいなと思った。グリーンウイングスは、地域に愛されているチームだと思っている。勝つこともそうだが、試合を観てもらって、楽しかったり、感動したり、何か感じてもらえるものをチームとしても、私自身としても見せていきたい。」
グリーンウイングスにとって、SVリーグ1年目は、この舞台で戦える喜びと、悔しさ、難しさを味わったシーズンだった。2年目を迎える今シーズンは、SVリーグで勝利を重ね、皆で喜び合える時間を増やし、次なるステップとするシーズンにしなければならない。
山下遥香は、きっとそのために、大きな原動力となり、力を尽くしてくれる事だろう。