【THESPA】勝ち切るために、逃げるのではなく、ゴールを奪え、タフに戦え!-八戸戦プレビュー

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「隙を作ったらあかん!俺らは勝ってないんやぞ!!」

夏がやってきたのかと思わせるような強い日差し、30度を超える暑さに包まれるザスパークに、福王忠世コーチの熱い声がこだまする。

前節・讃岐戦では、後半、逆転に成功し、3-2と今季初の連勝まであとわずかな所まで来ていたが、後半アディショナルタイムに入った47分に同点ゴールを許し、勝ち点3を逃した。FC大阪戦の様な悪夢こそなかったが、それに近い、ショッキングな引き分けだったと言っても言い過ぎではない。

ゲーム後半での失点、特に、アディショナルタイム含め、ゲームのまとめ方に苦労しているのはデータでも明らかだ。

今季、ここまでの総失点26失点はリーグワースト3位。もちろん、点の取られ方も気になるが、さらに気になるのは失点の時間帯だ。総失点の内、後半の失点は17失点と2/3を占める。さらに、後半30分以降の失点は8失点で、そのうちアディショナルタイムの失点が5失点だ。

ゲームをどうまとめればいいのか。

「それこそポゼッションサッカーなんだから、失わないことを優先するべき!」、「守備の選手を投入して、人数をかけて守り切ればいいのに!」、「もっとほかのチームの様に、アウトオブプレーをゆっくりやって、時間を使えばいいじゃないか!」など、いろいろな声はあるだろうが、今のザスパが求めているのは、ゲームを決める点を取って、勝ち切る事だ。讃岐戦ではそれができなかった。

沖田優監督は、讃岐戦を振り返り悔しがる。

「攻守とも、もっとやれる力がある、もっとやれたんじゃないか。あの内容、あの展開、それに、最後の10分は、相手も負傷者がいて、ひとり少なかった状態だった。それも含め、我々が、4点目を取れなかったことが全て。今の状態でもう少しいいパフォーマンスを出せれば4点目を取れた。守備の強度もどうだったのか、もっとやれたはずで、攻守に課題があった。一度、できるところまで到達したはずなのに、もったいなかった。2失点以下にできたし、4点目が取れた。非常にもったいない引き分けだった。」

超・攻撃的サッカーを掲げる中で、逃げ切るのではなく、勝ち切るサッカーが、今のザスパの勝ち方だ。

「3-2になって、相手が負傷して少なくなって、タナ(田中翔太)を入れた。選手たちに、『4点目を取ってゲームを終わらせるんだよ』、『守りに入るなよ』というメッセージを込めた。ただ、結果的に、キーパーからのロングキックひとつでやられたのは采配ミスだと思っている。でも、僕に後悔はない。実際に、4点目のチャンスもあった。そこで取れた中で、勝ちも増えていく。それぐらい突き抜けて上がらないと、中途半端な所までしか行けない。そこのマインドは大事にしないといけない。」

ゴール、勝利、そして、クラブが掲げたJ3を優勝して、1年でJ2に復帰するという結果や目標の部分をないがしろにしていいとは思わない。ただ、新生・ザスパ群馬が掲げた超・攻撃的サッカーというスタイル、マインドもまた、簡単に手放して欲しいとは思わない。成長の速度を加速させること。すべての答えはやはりそこに尽きる。そのために、この日も、暑さに負けず、1本のパス、ひとつのプレーにこだわりを持ちながらトレーニングをしているのだ。

悔しさが残るゲームの中にも、明るさがあった。そのひとつが、エース・髙澤優也に今季初ゴールが生まれた事だろう。

復帰2年目の今シーズンだが、開幕前、そして、開幕してからもコンディション面で苦しんだ。沖田監督からも、「焦らず、しっかりコンディションを整えて復帰して欲しい。」とメッセージが送られ、もどかしい気持ちを抑えながらコンディションを整え、13節・高知戦でリーグ復帰、そして、3試合連続スタメン起用となった16節・讃岐戦でゴールネットを揺らした。

「やっと取れたなという感じ。まだまだここから始まりにすぎないという感じ。徐々に、ボールのタッチだったり、質の部分は戻ってきたと思う。」

我らがエースは、遅れを取り戻すべく、ここからの巻き返しを誓っている。

「勝たなきゃいけないゲームが何試合もあった。負けてないのは良い事だけど、勝ち点1を勝ち点3にもっていかないといけない。」

超・攻撃的サッカーを表現するために、そして、点を取って勝ち切るためには、髙澤の完全復活が必要不可欠だ。讃岐戦のゴールが、今後のゴールラッシュの始まりとなるよう、我々も、引き続き、応援していこう。

早いもので、リーグは残り3試合で折り返しを迎える。

J2自動昇格圏・2位栃木シティ(34pt)とは、勝ち点差15、プレーオフ圏内の6位北九州(27pt)とも、勝ち点差8ptの差がある。折り返しまでの3試合で、どこまで詰め寄れるか。大事な3試合だ。

今季、チームの中心として奮闘を続ける西村恭史は、讃岐戦の反省から、まずは自分達に矢印を向ける。

「相手も、そこまで球際がめっちゃ強いわけではなかったけど、自分たちが、ただただ弱かった。球際に強いチームと戦った時に、この間の様なサッカーでは、讃岐戦以上にやられてしまう。相手どうこうではなく、自分たちの戦う所、技術ではない部分が足りなかったと思うのでそこをしっかりやりたい。」

その上で、次節・八戸戦の重要性も口にする。

「近い順位含め、まだまだ、団子状態だ。勝てば上がれるし、落すと下に行ってしまう。八戸戦は、大事な試合だと思う、八戸も全員がやりたいことに矢印が向いているし、球際も強い。そこをしっかりやらないといけない。讃岐戦の様にならないように、自分たちがボールを支配しながらも、球際の部分でも力を出したい。」

沖田監督も、同様にタフな戦いを予想する。

「石さん(八戸・石﨑信弘監督)の事はよく知っている。八戸はまとまりのあるチームで、統一感、一体感があるすごく良いチームなので簡単なゲームにならないのは間違いない。アウェイで、グラウンドコンディション含め、いつもと違う様相のゲームになりそうだ。チームとしてのタフさを持ち合わせないと勝つことはできない。」

昇格レースを続けるためにはアウェイと言えども、上位から勝ち点3を奪う事が重要だ。讃岐戦で勝ち切れなかった悔しさもある、そして、何よりも、ザスパの超・攻撃的サッカーでゴールが奪える、勝利を手にできる、そして、J2復帰を掴めるんだという事を内容でも、結果でも証明するそんなゲームを見せてもらいたい。

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