【THESPA】まもなく宮崎キャンプ!「超・攻撃的サッカー」は次なるフェーズへ

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「ひと言でいうと楽しい。自分自身も楽しんでチームのみんなと過ごせているし、選手自身が楽しそうに練習でプレーしているのを見るのも楽しい。とても楽しい3週間だった。」

ザスパ群馬の沖田優監督は、始動から3週目に入ったここまでの時間をそう振り返った。

「楽しいだけじゃなく、ここまでは鍛錬期。選手には強度も高く、量も多く、キツイ時期なはずだが、楽しんでくれている。今のところ最高だ。それに、ゲームやったり、練習をやっていると、最初にはなかった選手同士の会話が増え、放っておくと、そこにコーチも入ってきて、さらに会話も増え、すごくいい状態だ。体作り、そして、しんどいはずの量と強度の高い新しいサッカーを落とし込むことは全部やってきた。」と手ごたえを口にする。

体制が一新され、「超・攻撃的サッカー」を掲げ新たなスタートを切ったザスパは、始動から、そのサッカーの理解、落とし込みを行ってきた。新たなスタートに、どの選手たちも強い情熱をもって取り組んでいる。

大畑隆也は、「監督が変わるとやることも変わる。新しい刺激が入る。やりたいことも明確なので、いち早く、フィットできるよう取り組んでいるところだ。ボールを大事にするところは、昨シーズンもあったが、同じようでも一味違う感じでやっている」と、始動からここまでの様子について話す。

昨シーズン、チームの中心のひとりとして戦った選手にとっても、約束されたものは何もない。どの選手も、フラットな中でのスタートになる。その中で、新たな監督を迎え、新たな仲間とともに、新たなサッカーに、皆が、刺激をし合いながら、高い志を持ってトレーニングをしている。

沖田監督が目指す、超・攻撃的サッカーに求められるのは、「J1基準」のサッカーだ。新チームが動き出してから、1本のパスの質から見直し、取り組むなど、理想を掲げるだけでなく、その理想を現実のものにするために細部にこだわっている。

松本から新加入の米原秀亮は、「精度の所を意識している。パスひとつにしても監督はこだわっている。僕もそこは持ち味だと思っているので、より精度上げたい。自分が前を向いた時の関係は、やりながらじゃないとつかめない。自分も要求しながら、仲間の欲しいタイミングを意識しながらやっている。」と話す。

チーム作りのフェーズが進み、練習試合も行われるようになってきた。

沖田監督は、「ここからは練習試合が続く、上位クラブともできる。そこでゲームとして、どれくらい表現できるかを試して、開幕を迎えたい。」と考えている。

今後は、こだわってきた質の部分を、コンビ、グループ、そして、チームと規模を広げ、連携面に繋げられるかという所がポイントになる。

開幕まで1ヶ月を切り、まもなくキャンプ。そろそろ、どの選手が開幕スタメンの座を掴むのかも気になってくる。一方、多くの選手が、複数ポジションにトライしており、誰が、どのポジションを担うのかという興味は尽きない。

昨シーズン、鳥取で8得点を挙げ、得点源としてさらなる飛躍が期待される田中翔太も、新たなチャレンジが続いている。

「新しいポジションでプレーさせてもらっている。自分も初めての体験で、学ぶことも多い。もっとチームにフィットしたい。自分の武器を活かしながら、改善する所を改善すれば選手としてもっとレベルアップできると思う。自分たちのやりたいサッカーを意識してやれている。」と、新たなチャレンジに意欲と手ごたえを感じている。

沖田監督も、同様に手ごたえを口にする。

「キャンプのゲームを進めながら、ある程度レギュラーの様なメンバーを固定したいが、ここまで、選手はそれぞれのポジションで良すぎて迷っている。もし、『明後日、ゲームです。』と言われたら、誰が出るかわらなない。良い悩みだ。まだまだ、いろいろなポジション試すし、シーズンが始まっても、いろいろできて、クォリティーも年間を通して求めたい。みんなが、凄くこのサッカー適応して、やれる選手が多いというのがここまでの評価だ。だから悩んでいます。各ポジションで競争相手がいすぎる。年間を通して向上してくれたらと思う。」

J3降格となり、監督、選手、強化部含め、チームは一新された。大きな体力を持たないザスパを考えれば、スーパーな選手を揃え、力技でシーズンを押し切っていくというのは難しい。そう考えると、イチからのチーム作りには、もっと時間と我慢が必要になるかと思ったが、ここまでは、掲げた理想に対し、思いを同じくする指揮官のもと、その理想を表現するために明確な狙いをもって補強した選手が、十分すぎるほどにいい準備をしてくれている。

ただ、長いシーズンだ。1年の中には、上手くいく時もあれば、そうではない時もある。これは、いつでも、どのチームにもある事だ。

チーム最年長の小柳達司は、そうした部分への準備を怠らない。

「新しい監督、新しいサッカーに触れて、自分も素直に楽しい時間だ。自分は、他の選手より、年齢が経っているが、いつも成長したいと思いながら取り組んでいて、その実感もある3週間だった。みんなサッカー好きで、ボールを触る練習が好きだし、攻撃の練習も好き。そうした事が楽しくサッカーをできている理由だと思う。だけど、自分は長くやってきた中で、それだけじゃ勝てない。違うフェーズに入ったら、楽しくないこともやらなければいけない。そういう時に自分が伝えたい。」と思いを教えてくれた。

再起を図るチームが、素晴らしいスタートを切れたことは誇らしく、喜ばしいし、大きな期待をもっていい。だけど、常にそうではないという事も知っておかなければいけないし、ケガを含め、いろいろな理由で、苦しく、厳しくなった時に、いかに早く、その課題を乗り越え、立て直せるか。監督、コーチをはじめとするスタッフ陣の引き出し、小柳はじめ、経験ある選手たちのリーダーシップ、そして、やはり、ファン、サポーターの力強く、温かい応援、声援という事になるだろう。浮かれることなく、ひとつ、ひとつ、目標であるJ3優勝、1年でのJ2復帰に向け、皆で進んで行こう。

そして、27日からは1週間の宮崎キャンプが始まる。

米原は、「ゲームしながら、攻撃の所を合わせることを一番やらないといけない。開幕に向け、完成度を高くしていかないといけない。練習はもちろん、試合を通して、もっともっとやっていきたい。」とキャンプに向けた狙いを教えてくれた。

田中は、「最後の精度、攻撃回数をもっと増やせば、もっと得点も増える。僕も攻撃の選手なので得点を取らないと生きていけない世界。だから、結果にもっとこだわりたい。キャンプでは、練習試合も多く入ってくる、勝負にこだわって、3週間やってきたサッカーを表現したいと思う」と闘志を燃やす。

大畑は、「先のことを見るよりは、1日1日を重ねて行く事が大事なので、開幕の事は考えられていないが、そのピッチに立てるようにしたい。」と冷静に、その時へ向け準備を進めていく。

小柳は、「個人的には、まずケガをしない事。その上で、やらなきゃいけないプレー、振舞いを若手に、言葉でも、姿勢でも伝えたい。チームとしては、戦うチームにならないといけない、攻撃の回数、戦術的な所、個人で戦う所、理屈じゃない所もある。シーズン通して、戦術同様にレベルアップしたい。最後は、そこが結果を助けてくれる。」とチーム全体の事を見つめている。

ザスパのキャンプは1週間と、他のクラブと比べて極端に短い。ただ、それを言い訳にすることはできない。限られた時間の中で、練習試合を多く組まれている。チーム始動から3週間、積み上げてきた手ごたえをさらに昇華させ、次なるフェーズに向かう、大事な1週間になる。各選手には、ケガなく、そして、充実した時間を過ごしてきてもらい、群馬に戻ってきた時に、より一層、シーズン開幕が楽しみだと感じられるようなチームを作ってきてもらおう。

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