SASAnote 1年でのJ2復帰へ。もう言葉だけでは誰も付いてきてくれない。-ザスパ群馬

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シーズンは続いている。しかし、それとともに、我々は、どこよりも早く、来シーズンに向けた準備をしなければいけない。クラブが掲げ、皆が期待する1年でのJ2復帰が簡単でないことはザスパ自身がすでに経験しているのだから。

「まずは1年であるべきポジションに戻るべく、あらゆる変革、挑戦、努力、準備、実行を今この瞬間からスタートし、全力で取り組むことを誓います。」

クラブは、J3降格圏内となる18位以下が決まり、声明を発表。具体的な表現ではないが、事実上、1年でのJ2復帰を誓った。

ザスパのみならず、J3に降格した多くのクラブは、1年でのJ2復帰を誓う。だが、それは簡単な事ではない。実際、ザスパも、2017年にJ3降格を経験したが、この時はJ2復帰に2年かかった。J2復帰を決めた2020シーズンも、シーズン最終盤に自力昇格の可能性が戻り、最終節で勝利し、J2復帰を決めた。心身ともにすべてを出し尽くし、すり減らしながら、何とか掴んだJ2復帰だった。簡単ではない。

それはザスパだけでなく、他のクラブも同様で、J3の歴史を見れば、1年でのJ2復帰がいかに難しいかわかる。過去、J2からJ3に降格し、1年でJ2復帰を果たしたのは、2016年大分のみ。今シーズンは、大宮がJ3優勝、そして、1年でのJ2復帰となりそうな勢いだが、それを含めても、2013年以降で、わずか2クラブしかない事になる。

それどころか、J3降格して、長い時間、努力を重ねても戻れないクラブの方が多い。鳥取、富山、讃岐、岐阜、琉球、岩手、松本、金沢など、かつてJ2でザスパのライバルとして争ったクラブの多くが、J2復帰を果たせずにいる。J1経験クラブでも、規模の大きなクラブでもJ2復帰は容易ではない。中には10年以上戻れないクラブもある。

むしろ、新たなレギュレーションにより、J3も、アマチュア最高峰の日本フットボールリーグ、JFLへの自動降格、入れ替え戦も行われるようになった。J3だからと甘く見ていたら、J2復帰どころか、Jリーグで戦う事すら許されなくなる可能性もある。

1年でのJ2復帰というのは、それだけ難しく、覚悟がいる言葉だ。成し遂げるには、言葉や気持ち、思いだけでなく、それに見合う準備、行動が求められる。

なにより、今シーズン、2024シーズンの反省、そして、目標を果たせず、J3降格となってしまった原因、責任の所在が明確にならなければならない。曖昧なまま2025シーズンのスタートを切ることはできない。人事的に辞める、辞めないもあるかもしれないが、それ以上に、何ができたのか、できなかったのか、足りなかったのか、必要だったのか、そして、補い、強化し、2025シーズンに臨もうとしているのか。そこをはっきりしないといけない。クラブにはその部分をしっかりと示し、リスタートを切ってもらいたい。

果たして、2025シーズンのザスパはどうなるのか。まだまだ、現時点では予測の範囲でしかない。

チーム編成は、水面下で進みながらも、交渉はこれからだ。残ってくれるか否か、そもそも、残すのか、変えるのか。この辺りは言い出すとキリがない。

圧倒的な戦力を投じられるならば、力技で押し切ることもできるかもしれないが、規模の小さなクラブであるザスパには難しい。誰が率いても、誰が試合に出ても変わる事のないベースとなる「ザスパスタイル」の確立と、その時に集った特徴ある選手たちの良さ、特徴を生かしながら、柔軟さ、対応力が必要だ。

一方で、今季の課題を解消するために、個の力の大切さも痛感した。特に、得点力不足を補うための違いを生み出せる外国籍FWの獲得、どんな時でも、ピッチ内外でザスパのために戦え、コミュニケーションを取れるリーダー的選手の獲得も必要ではないかと個人的には思う。負担は少なくないが、積極的な動き、本気度も含め、示してもらいたい。

クラブハウス付きの専用グラウンドもできた。充実の施設ができたことは、選手獲得にも大きなメリットとなるはずだ。明確なプランに基づき、プラスの要素を活かしながら、最大限のチーム編成に努めなければならない。

また、誰もが、最短での復帰を願うが、強化には時間が必要だ。短期的な事に目を奪われて、同じ過ちを繰り返してしまうのならば、多少の時間がかかっても、J2、そして、その先のJ1で戦っていく上でのベースを作る覚悟で、応援してくれる皆さんに時間的猶予をお願いすることも必要なのかもしれない。

もちろん、J3の時間が長くなればなるほど、クラブの経営面では苦しさも増すだろう。また、Jリーグは、2026-27シーズンからの秋春制導入が決まっている。来シーズンのJ2復帰逃した場合、2026シーズンの前半が移行期間となり、26-27シーズンを経て、最短でJ2に戻れるのは、27-28シーズンからになる。余計に時間がかかることが、チームにも、クラブにも、よりJ2復帰への難しさを増す事にもなりかねない。

他方、ザスパが、前回、J3を戦った時とは異なり、J3も、J1、J2と同様の試合数が確保されている。カテゴリーは下がるが、クラブの努力次第で、ホームゲームを中心とした盛り上げ、営業面でのプラス要素など、如何様にもできるチャンスはある。

また、ライバルは手ごわく、前回の時よりもJ3のレベルは上がっているが、J2昇格枠も1枠増えている。1位、2位の自動昇格だけでなく、3位から6位までのプレーオフによる昇格枠がある。こちらも簡単な事ではないが、6位からでも、J2復帰のチャンスもないわけではない。

簡単ではなく、厳しい戦いが予想されるが、様々な可能性があり、チャンスがある。ただ、それもすべてはザスパ次第だ。

今シーズンは、多くのサポーターが、言葉と思いを信じてついてきてくれたが、クラブも、チームも、結果で応えてくれなかった。言葉だけ、気持ちだけでなく、反省や振り返り、そして、責任を含めた問題点が明確にされ、しっかりとしたビジョンに基づく行動があって、はじめて、サポーターは2025シーズンの歩みを共にしてくれるのではないだろうか。それがあってこそ、目指すべき結果、J2復帰を掴めにいけるのではないだろうか。

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