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SASAnote 新シーズンは「未来」のグリーンウイングスへの第一歩-群馬銀行グリーンウイングス 新シーズン展望

6月に入り、Vリーグ各チームは新チームでの活動をスタートさせるとともに、新体制発表を行うチームも増えてきた。

群馬銀行グリーンウイングスは、新チームでの活動をスタートさせているものの、新体制発表についてはまだアナウンスがない。ただ、直近を見ても、新体制発表をするシーズンもあれば、行わないシーズンもある、また、その時期もまちまちで、チーム側の都合、タイミングによるものなので、慌てる必要はないだろう。

とは言え、新チームがどのような陣容でスタートを切るのかはファンにとっても気になる所であり、何より、国内バレーリーグは、24-25シーズンからスタートする予定の新リーグに向けて大きな転換点を迎えようとしている。故に、今シーズンは、これまでのシーズンとは考え方が異なるシーズンになる。そうした部分も踏まえ、新チームの陣容を展望したい。

すでに発表されている新戦力は、昨シーズン、内定選手として発表されている目黒愛梨(日本体育大)、小嶋桃香(日本航空高)の2選手だ。

以前のグリーンウイングスは、大卒、高卒のルーキー選手を迎えることで、新チームを作ってきたが、近年は、他チームからの移籍によるチーム強化にも積極的だ。そして、前チームからは、すでに3人の選手が退団しており、その選手たちの代わり、チームを強くするための補強を考える必要がある。

松尾奈津子は、セッターとして、チームを率いるリーダーとして今シーズンも欠かせない存在だ

最優先は、セッターだ。3人いたセッターは、古市彩音、藤原愛が退団し、松尾奈津子のみで、補強は急務だ。

齋藤真由美監督が率いた昨シーズンは、メンバーを固定しないスタイルでシーズンを戦っており、今シーズンも、同様のスタイルを貫くのであれば、そうしたバレーボールに対応できるセッターが求められる。つまりは、対応力の高いセッターが必要だ。ゲームの初めからコートに立ち、試合を作る力、ゲームの途中から入り、流れを引き寄せるゲームメイク力、また、多様な選手とも関係を築けるコミュニケーション能力も含め、様々な対応力が求められる。その上で、チーム構成を考えたとき、経験豊かな松尾とともに、チームを引っ張れるキャリアのあるセッター、そして、将来性豊かな若手セッターの2名が必要だ。

また、長くチームのエースとして活躍した田中瑠奈が抜けたアウトサイドヒッターも、検討事項のひとつになるだろう。現有戦力でも、それぞれに特徴があり、多様な戦いができるが、田中の様な強打で勝負できるアウトサイドヒッターが加わることで、より力強い攻撃を展開することができる。苦しい場面でも打ち切れる、エースとして頼れる、「力」で勝負できるアタッカーを獲得したい。もちろん、若手を中心に、そうした頼れるエースへと成長、台頭する選手が現れることも期待したい。

ミドルブロッカー陣は、実績十分な道下ひなの、成長著しい清水愛、期待値の高いルーキーの目黒、ミドルをはじめ、マルチに活躍する菊地実結、昨シーズン、ミドルにもチャレンジした正木七海など、戦力は充実しているが、伊藤寿奈がケガからの復帰に時間が必要で、ケガ明けの安福若菜も、試合勘を戻すのはこれからだ。チームの核でもあるミドル陣の更なる強化も含め、新たな選手を迎えても面白いだろう。

ケガからの完全復活か期待される安福若菜。今シーズンはもちろん、今後に向けてもチームのカギを握る存在だ。

リベロは、吉岡みなみ、栗栖留生のふたりへの安心感、信頼感は大きいが、先々も含め、若手選手を中心に獲得があっても面白いが、他のポジションと比べると優先順位は低いように感じる。

チーム成績から考えると、昨シーズンは、サーブ効果率(9.6%→7.7%)、サーブレシーブ成功率(59.9%→54.8%)が前シーズンよりも低下している。

サーブで言えば、退団した、田中瑠奈、古市彩音、藤原愛の3選手は、いずれもサーブ力の高い選手で、彼女たちに変わるサーブ力の高い選手が必要だ。また、サーブレシーブ成功率は、数字の低下もさることながら、リーグ最下位の数字でもある。もちろん、サーブレシーブは、個人のレシーブ力だけの問題ではないが、リベロだけでなく、アウトサイドヒッター含め、レシーブ力の高い選手はチームを押し上げる力になる。

新たな戦力を迎える事はもちろんだが、移籍が活発ではないVリーグを考えるならば、チーム内でのポジション変更、役割変更もあるだろう。途中でも触れたが、齋藤監督は、選手たちをこれまでのポジションにこだわらず、新たな役割にチャレンジさせるなど、チームの中で、その選手が輝けるポジション、役割は何かという事に前向きな指導者だ。昨シーズンのプレーを見て、今シーズンの戦い方、陣容を考えた時に、新たなポジションで挑もうという選手も出てくるかもしれない。

選手の心を掴み、その力を最大限に発揮することに長ける齋藤真由美監督。今シーズンはどんなチームを作り上げるか?

そして、将来を見据えた上で重要なポイントが、24-25シーズンに控える新リーグ移行についてだ。

これまでは、V2での優勝、そして、入替戦に勝ってV1を目指すという明確な目標があったが、今シーズンは、V1昇格というものがない。もちろん、リーグ戦がある以上、リーグ優勝を目指す事には変わりはないが、その先に控える新リーグ移行も見据えたチーム作り、選手育成、強化も重要なテーマになる。

今だグリーンウイングスから、新リーグ移行に向けて、どういった立ち位置を取るのかという公式なアナウンスはないが、おそらく、最上位カテゴリーであるSVリーグ参入に向けて準備が進められているものと思われる。リーグによればSVリーグは、世界トップクラスのリーグを目指すなど、これまでのV1以上に、戦力面も、経営面も、高いものが求められるリーグになっている。そこに向けてグリーンウイングスがどんなイメージを描いているのかは定かではないが、SVリーグで戦うならば、今よりもさらに高いレベルのバレーボールが求められる事は間違いない。今シーズンの戦いもさることながら、新リーグ移行を見据えた戦力補強も考えていかなければならないだろう。

それで言うならば、外国人選手についても、ハンタヴァ・エヴァンゲリアの去就は定かではないが、仮に、彼女が退団した場合、無理に、外国人選手を補強せずとも、日本人選手のみで、将来を見据えたベースを作るシーズンとしてもいいのではないかと考えるがどうだろうか。

今シーズンだけでなく、その先へ向けて、チームはもちろん、選手たちも輝き続けて欲しい。

いずれにせよ、秋に始まる今シーズンのリーグ戦を考えるなら、まだまだ時間はあるかもしれない。ただ、新リーグ移行、そして、その先にあるグリーンウイングスの未来を見据えた時には、決して時間があるとは言えない。やるべきことは多く、決断しなければいけないタイミングは迫っているのだ。

新たな時代を切り開こうとする今シーズンの群馬銀行グリーンウイングス、そして、そこに集う選手たち。応援する我々は、そんなチーム、選手たちに、大きな期待をするとともに、今シーズンも力強いエールを届け、支えていくのみだ。

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