SASAmemo 「常に自分の100%の力を出し切ることを意識したい」-群馬銀行グリーンウイングス 正木七海選手

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今シーズンの高卒ルーキー・正木七海は、群馬銀行グリーンウイングスでの毎日を楽しんでいる。

「毎日、学ぶことが多すぎて、毎日、課題が見つかるが、どうしたらいいか悩んでいる時も、みんなが話しかけてくれて、相談に乗ってくれる。毎日、悔しいと思うこともあるが、それ以上に、あれも、これもやりたいと思うことが多いし、周りの選手の素晴らしいプレーから学べて、いつもありがとうございます!という感じです。」と、正木は、笑顔で日々の様子を教えてくれた。

北海道岩見沢市出身で、高校は旭川実業。Vリーガーとしてグリーンウイングスでバレーボールをするために、「覚悟を決めてきた。」と初めて故郷・北海道を離れ、群馬にやってきた。トップレベルの競技者にとって、環境の変化があるのはごく当たり前なことかもしれないが、高卒ルーキーにとっては、バレーのレベルにも、環境にも慣れることは簡単ではない。それでも、正木を見ていると、そうした難しさは無縁に感じる。

正木は、「今まで経験してきたチームも好きだけど、それ以上に、このチームは、雰囲気が良すぎて、みんなが理解して、好きすぎるくらい、いい雰囲気で臨めている。」とその理由を教えてくれた。

今シーズンのチームの雰囲気の良さは誰もが口にするし、常に一体感を感じる戦いは試合を見ていれば誰にでもわかる事だ。

また、バレーのスキルもそうだが、むしろ、先輩たちが、グイグイ距離を縮めてきて、オフコートで、みんなでワイワイ、楽しい雰囲気が作られる。正木も、ギャグに、ダンスに、これまで経験したことがないものを求められ、最初は、初めての経験で、びっくりした部分もあったようだが、先輩たちがそうした雰囲気を作ってくれるチームは、新鮮であり、馴染み易くもあったようだ。何より、正木の実直な人柄と、直向きな姿勢を周囲が放っておくはずがない。そんな環境は、正木のルーキーイヤーをより充実なものにしてくれている。

もちろん、コート上でも、正木は、着実に経験を積んでいる。

今シーズンは、10月29日、開幕戦のリガーレ仙台戦で、第2セットに途中出場し、Vリーグデビュー。そして、中断前の12月4日、大野石油広島オイラーズ戦で、初スタメンを飾った。

そんな、初スタメンとなった大野石油戦の前日、正木は、斎藤真由美監督に声をかけられたという。

正木によれば、「試合で、『最初から最後までコートに立ち続ける覚悟はありますか?』と聞かれ、その段階では、まだスタメンになるかどうかは分からなかったけど、前の日から緊張しっぱなしでした。」と振り返る。

斎藤監督は、正木について、「貴重なサウスポーの選手、調子のいい時は、止められないくらいのパワフルなスパイクを打つプレイヤー」と高い評価を送るが、一方で、「正木さんは、非常に心の優しいプレイヤーで、その優しい面がプレーに出てしまうことがある。彼女には、『日々、強くなれ』と言っている。大野石油戦では、『常にレギュラーを狙っている気持ちじゃないと使わない、ガッツはありますか?』と聞きました。」と、気持ちの部分の強さを要求したという。

斎藤監督の思いも込めてスタメンで送り出されたこのゲームで、正木は、アタックでチームトップの11得点をマーク、サーブでも2得点を挙げ、サーブ効果率16.7%と高い数字をたたき出す活躍を見せるなど、十分な役割を見せてくれた。

正木は、「アップの時は緊張していなかったけど、コートに入って、体の中が、『ドクドク』していることに気づいて、『緊張しているんだ、、、』と分かりました。試合中は、プレーで意識している部分を、チームメイトに言ってもらったり、ドリンクボトルに、目標とか、意識することを書いて、それを確認しながらプレーしました(笑)みんなが助けてくれて、何とかしっかりできたと思うし、最後は緊張も忘れるくらい思いっきりできたと思います。」と胸を張った。斎藤監督も、「最初は、緊張もあったが、セットを追うごとにたくましさがあった。」と評価した。

初めてのスタメンで、周囲の期待にも応え、結果を残すことに成功した正木だが、この結果に奢ることなく、リーグ再開後の戦いに向け、準備を進めている。

正木はレベルアップを目指し、「今までにやったことがないことをチャレンジしたり、今まで得意だったことをもう少し強みにしたいと思っている。いろいろな方に聞いて、発見がある。オフェンスだけでなく、すべての面でちょっとずつレベルアップができる様、毎日やっている。」と話す。

サウスポーという事で、ライトポジションが本職だが、グリーンウイングスに来てからは、ミドルポジションでもトレーニングを積んでいる。「今はブロックを強みにしたいと思ってやっている。ミドルで入った時、今までと、感じ方、見え方が、全然違う。ライトに入った時に、今度はミドルの人の思いがわかるようになるのでその辺りを意識してやっている。」と発見、学びの連続だ。

年が明ければ、リーグが再開し、V1昇格へ向けたライバルとの戦いも本格化し、より厳しさを増していく。そうした戦いにキャリアの違いは関係なく、甘えは許されない。もちろん、正木自身も、強い思いを持って向かう覚悟だ。

正木は、「今までの試合もそうだが、これからの試合も常に挑戦し続けたい。誰がどのポジションでも、常に全員で勝たないと意味がないので、コートに入っていても、いなくても、どこにいても、全員で勝ちに行きたいと思っている。私が、最初からコートに立つ時でも、途中からでも、常に自分の100%の力を出し切ることを意識したい。控えめにプレーしていても意味がないので、思い切り、勢いをつけられるプレーをして行きたいと思う。」と話す。

正木七海は、日々を楽しんでいる。だが、楽しむだけでなく、更なる成長に向け努力を続け、斎藤監督も求める、「強さ」、「たくましさ」も身に付けながら、チームの勝利、そして、V1昇格のために進んでいる。そんな彼女の姿に、これからも注目してもらいたい。

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