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SASAnote vol.48 ザスパクサツ群馬 シーズンプレビュー

いよいよ、新シーズンが19日に開幕する。J2復帰2シーズン目となった昨シーズンは、厳しい残留争いに巻き込まれながらも、総力戦で残留を勝ち取ったザスパ。ただ、残留に満足してはいられない。更なる飛躍を目指し、新シーズンは、「Beyond THESPA!!」をスローガンに掲げ、これまでのザスパを、そして、これまでの自分を超える戦いがスタートさせたのだ。

チームは、J1浦和レッズで監督経験のある大槻毅新監督を迎え、これまでの最高成績となる「勝ち点50、16位以内」を目標に戦う。また、クラブも、石井宏司新社長のもと、群馬に根付き、地域とともに歩み続けるザスパを築き、将来的なJ1昇格のために、経営力向上に力を注ぐなど、新たなザスパを築いていく、一歩目を踏み出すシーズンだ。

先日は、オフィシャルユニフォームパートナーであるカインズが、クラブハウスと専用練習場の建設計画を発表するなど明るい話題も多い。こうしたい流れを失わず、ザスパを成長曲線に乗せるためにも、チーム、クラブともに、より結果が求められるシーズンになる。

新型コロナウイルスの影響が続き、練習公開や取材は、まだまだ限定的だが、それでも、新チーム始動から1か月、今シーズンのザスパの形も見え始めている。

大槻監督は、自らの特徴である分析力、育成力、対話力をフルに発揮し、チームに自らのスタイルを落とし込んできた。高校時代にも指導を受けた経験があるという新加入の深堀隼平も、「コミュニケーションをたくさん取ってくれるし、ピッチの中で思う事を伝えてくれる。わかりやすい指導だし、熱量もある監督だ。」と話すなど、開幕までの間に、選手たちのハートをガッチリと掴むことに成功した。

スタイルについては、これまでも松本大樹強化本部長が、「4バックが基本」と話してきたように、4-4-2、または、4-2-3-1の形が基本となる。ただ、先日のオンラインサポーターズカンファレンスでも、後ろに厚みを持たせる守り方も示唆しており、ベースはありつつ、相手、状況を見ながら、多様な戦いも見せてくれそうだ。

目指す戦いについては、新加入会見時にも、「自分たちから守備を始める。いい守備から攻撃へ。そして、攻撃を継続する。ラインを押し上げコンパクトにし、選手が連動するところからスイッチが入るサッカーをしたい。」と話しており、強度の高い守備から、切り替え早く、ワンタッチで、連動しながらゴールを目指す事になるだろう。ただ、後ろの選手も含め、運ぶことが求められたり、逆サイドへの展開も織り交ぜており、単純に、縦に速いだけのサッカーというわけではなさそうだ。

なにより、大槻監督のもとで試合に出るためには、運動量、献身さ、連続性という所は必須事項というのがこれまでの練習を見て来ての印象だ。

以下、ポジションごとに見ていこう。

<GK>
昨シーズン終盤、ビッグセーブを続け、チームを残留に導いた清水慶記、そして、リオ五輪代表の実績もある新加入の櫛引政敏を軸に守護神争いを展開するだろう。大卒2年目の山田晃士、神戸から期限付き移籍の伊藤元太も、ポテンシャル、伸びしろがあり楽しみな存在だ。

<DF>
CBについては、畑尾大翔、渡辺広大という実力者に、大卒3年目の川上優樹、2年目の城和隼颯の若手ふたり、さらにSBもできる藤井悠太もいる。特に、川上、城和は、評価、期待も高く、ブレイクイヤーとなる活躍を見せてもらいたい。SBについては、平尾壮、小島雅也、光永祐也といったここ最近のザスパを支えてきた面々に、2年目の高橋勇利也、高卒ルーキーの岡本一真もいる。また、他のポジションからコンバートされる選手もありそうで、開幕戦でどんな最終ラインが形成されるか楽しみだ。

<MF>
ボランチは、キャプテンの細貝萌、岩上祐三、新加入の風間宏希を中心に形成されそうだ。昨シーズン、最終盤に魅せた細貝の存在感は別格であり、シーズンを通じた活躍で、チームを引き締めてもらいたい。岩上、風間の実力も言わずもがなで、中盤からの配給はもちろん、大前元紀が抜けた後のプレースキッカーとしても我々を魅了してもらいたい。経験値の高い内田達也、中山雄登、若手の奥村晃司、天笠泰輝も攻守の特徴を兼ね備えており、相手、状況で多様な組み合わせができそうだ。

攻撃的な位置では、ドリブルで運べ、突破力のある田中稔也、新加入の山根永遠に期待したい。もちろん、ドリブルやパスセンスに優れる久保田和音、勝負強さが光る白石智之、ユース時代に大槻監督の指導を受け、スタイルを理解している山中惇希、そして、大卒ルーキーの田部井悠も楽しみな存在だ。また、サイドハーフの選手には、得点力不足を解消するためにも、アシストだけでなく、得点も求められるので、この辺りも起用の判断材料になりそうだ。

<FW>
得点力不足という長年の課題、そして、大前元紀、青木翔大という得点のキープレーヤーが抜けた中で注目が集まるこのポジション。前線のターゲットであり、ポスト役が期待される新加入の平松宗、今シーズンは、再びFWにポジションを戻した、キープ力、突破力の高い加藤潤也、裏への抜け出しが上手く、得点力もある、新加入の深堀隼平と北川柊斗、献身的なプレーで泥臭くゴールを奪える髙木彰人もいる。大槻監督は、「前線は、運べる、スピード、強度が出るところはお願いした。」と話しており、昨シーズンと同じものを求めるのではなく、大槻スタイルの中で、各選手の特徴を生かし、フィニッシャーとしての役割を果たしてもらいたい。個の特徴は活かしつつも、個に頼るのではなく、コンビ、グループ、チームとしてゴールを奪いに行かなければならない。

実績という部分では、ボランチや、一部の経験豊かな選手を除き、不足している感は否めない。ザスパの浮上には、キャリアハイにつながる成長が不可欠だ。また、加入会見時に、ある選手が、「J2でプレーするにはここ(ザスパ)しかなかった」と口にしたように、現実として、ザスパでプレーするというのは、J2で戦うラストチャンスの場所なのだ。選手たちも、ザスパとともに這い上がろうと必死な思いのはずだ。そんな思い、覚悟を、ぜひ、開幕戦から、プレー、結果で見せてもらいたい。

これまでも、大槻監督は「シーズンを通した成長を求めたい。」と話してきた。そして、「開幕戦は今年のザスパの基準となる試合。なので、その基準を高い位置でスタートさせたい。」とも話している。もちろん、対戦相手もいることなので、全てがこちらの思い通りいくわけではない。それでも生まれ変わったザスパを見せて欲しい、悔しさ、悲しみに包まれる正田スタではなく、晴れやかな笑顔で、喜びを分かち合える正田スタにして欲しい。そのための準備もできた中で開幕戦を迎えることになる。ならば、県民、ファン、サポーターもひとつになって応援の力もあわせ、2022シーズンの開幕戦を勝利で飾るのみだ。

新たなザスパを作り出す一歩目を、皆で力強く踏み出していきましょう!今シーズンも、どうぞよろしくお願いします。

<試合情報>
明治安田生命サッカーJ2リーグ 開幕戦 ザスパクサツ群馬 vs モンテディオ山形
2月19日土曜 14:00 正田醤油スタジアム群馬(前橋市)

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