明治安田生命・サッカーJ3リーグのザスパ群馬は、30日、ホームでギラヴァンツ北九州と対戦し、0‐2で敗れた。ザスパは2連敗で、順位は14位に後退した。
前節の奈良戦からはスタメンを6人を入れ替え、好ゲームを見せたルヴァン杯・長崎戦のスタメンからは、キム・ジェヒ、大畑隆也、野瀬翔也、山中惇希、小西宏登の5人が名を連ねた。
インパクトを残した選手たちのエネルギッシュなプレーで、勝利への道筋を作って欲しかったが、そうはいかなかった。
ゲームは前半9分に北九州が先制。ザスパは、右サイドから崩され、ゴール前に入ってきたボールに合され、あっさり失点した。さらに、後半19分には、長いボールで左サイドに起点を作られ、ゴール前に入ったボールに、相手FWをフリーにしてしまい、追加点を許してしまった。
90分を通して、ザスパにもチャンスがなかったわけではないが、モノにできなかった。
全体的には、今シーズン露呈しているチームの弱さ、課題がそこかしこに出てしまい、今後への不安が増したゲームになってしまった。
超・攻撃的サッカーを掲げるチームにおいて、多少の失点は受け入れる準備はある。だが、繰り返される、あまりにも簡単な失点が続いていては、さすがに看過できない。
1失点目も、2失点目も、人はいたが、相手に付けず、仕事をさせるに十分な自由な時間を与えてしまい、失点して然るべきものだった。今シーズン、多くの失点がこのパターンで、サイドから入るボールに対して、相手選手に対応する気があるのかというくらいフリー状態にしてしまう事ばかりだ。
ミス、そして、失点が、「超・攻撃的サッカー」のためにチャレンジしている部分であれば、「大丈夫!頑張ろう!続けよう!」という声になるが、そうではない、あまりにもイージーな失点にはそういう気持ちになれない。
ザスパのビルドアップに対するプレッシャーで言えば、長崎戦よりも強いプレッシャーを掛けられていた。何本か、危ういシーンもあったが、それでも、ボールを動かし、長短のパスを使い、前進しようとしていた。2失点は、ビルドアップに起因するものではなかった。十分対応できるものだっただけに、残念でならない。
一方、攻撃でも、チャンスはあった、CKからの大畑隆也のヘッド、右サイドの小西宏登から配給されたゴール前のボールに対する山中惇希のシュート、青木翔大の落としから西村恭史のシュート、連続攻撃を仕掛け、相手ゴール前で何度もチャンスが続くシーンもあった。
だが、クロス、ラストパス含め、ザスパは精度を欠いた。また、球際で強さを見せる北九州に、ザスパは上回る事ができず、ペナルティエリアまでボールは入るが、ゴールの可能性を感じるシーンは多くなかった。
北九州が特別なサッカーをしたかと言えばそうではなかった。攻撃は長いボールが中心だった。それでも、攻守におけるセカンドボールの奪い合い、対人含めた球際の対応など、戦う姿勢、ゴール、勝利を欲する思いが、より強く表現されていたのは北九州だった。
ザスパが目指すべきサッカーには、もちろん精度面での向上、成長を加速させることは重要だが、それだけでなく、戦って欲しい、相手を上回る思いをプレーに表現して欲しい。
J3に降格し、新たなザスパのサッカーを構築しようとしている最中だ。目指すものが、簡単ではなく、すぐに結果が出るものではなのもわかる。だからこそ、「ザスパスタイル」である、戦う姿、泥臭い姿、気持ちを全面に出した姿は常に見せて欲しいと思う。
みんなが、勝利のために、懸命に、必死に戦っている。それはわかった上で、見ている人、応援しているみんなの心を打つ姿を届けて欲しい。
結果を出すためには、成長スピードを加速させなければならない。いまのスピードでは、残念ながら、J3優勝、1年でのJ2復帰は厳しいと言わざるを得ない。早くも正念場を迎えている。それぐらいの危機感が必要だと思う。
そして、フラットにザスパを見つめる多くの群馬県民、サッカーファンは、「やっぱりザスパは弱い、J3でもザスパは勝てない」というレッテルを剥がしてくれることはない。そして、ザスパに手を差し伸べてくれる人はますます減ってしまうだろう。負のスパイラルに陥ってしまう。
この状況を変えられるのは、自分たちでしかない。幸いにも、自分たちがやるべき事、やろうとしている事はしっかり整理されている。ルヴァン杯でみせた好ゲームも、まぐれでも何でもないし、チーム全員が一体となって取り組んでいる事を示してくれた結果だ。
幸いにもまだ試合は残されている。ただひたすらにJリーグを目指したあの頃から続く、ザスパらしいひた向きさ、そして、今のザスパが掲げる「超・攻撃的サッカー」、この二つを融合させるような攻撃的で、戦う姿を全面に出すサッカーで、この閉塞感を打ち破って欲しい。
次節も、ホームで行われる宮崎戦だ。準備の時間は限られているが、もう一度、ベーシックな部分から見直し、目指す姿、そして、掴むべき目標を達成するために突き進んで欲しい。強いザスパ、それ以上に、皆の心を打つ、戦うザスパを見せて欲しい。