V2女王奪還、そして、悲願のV1昇格へ向け、リーグ後半戦の戦いが続く、群馬銀行グリーンウイングス。
今シーズンは、11チームによる2回戦総当たりのレギュラーラウンドを戦い、上位3チームがファイナルステージに進出。レギュラーラウンドの2位と3位が対戦し、勝ったチームがレギュラーラウンド1位のチームと対戦し、勝利チームがV2優勝となる。さらに、ファイナルステージの上位2チームが、4月上旬にV1下位チームとの入れ替え戦に臨むというレギュレーションだ。
シーズン終盤、ここからより厳しさが増す。そして、V1という分厚い壁に何度も跳ね返される悔しい思いをし続けてきた。
「今回こそ!」-グリーンウイングスに関わり、愛するものであれば誰もが強く思っている。V2の頂点に立ち、如何にV1という場所にたどり着くか。
今回は、これまでチームの中心として活躍するだけでなく、キャプテンも務め、V1の壁に挑み続けてきた、古市彩音選手、吉岡みなみ選手に、これまでの経験を踏まえ、チームの様子、自身の状況、そして、V1への思いを語ってもらった。
今回は、吉岡みなみ選手のインタビューをお届けします。
リベロとして、そして、キャプテンも経験し、チームを支えてきた吉岡も、今シーズンは5シーズン目のシーズンとなる。気が付けばチーム最年長になった。
今シーズンの吉岡みなみを見ていると、これまでのシーズン以上に笑顔の時間が多いことに気が付く。
「昨シーズン、いろいろな面で苦しんでバレーが楽しくなかったが、マッチョさん(斎藤真由美監督)が気づいて話をしてくれた。私自身は、夏にケガをして出遅れたけど、最近、『楽しいな』と思えるようになってありがたいと感じている。昨シーズンも、頑張っていたけれど、今年は、頑張った分がプレーに表れて、もっと頑張りたいなと思っている。メンタル面も大事な事だなと改めて感じている。」と、その理由を教えてくれた。
年長者は、なにかと頼られがちだが、吉岡とてすべてを受け止めきれるわけではないし、自身にも悩み、苦しみが生まれる。彼女にとっては、今シーズン、監督に就任した齋藤監督の存在が大きいようだ。
そんな斎藤監督について尋ねると、「マッチョさんは、ひとり、ひとりをちゃんと見て、誰ひとり見捨てない。試合においても、調子、コンディションで選ぶと言ってくれたので安心感がある。バレーが楽しいし、それがまとまってさらに良くなって、とても良いチームになっている。」と、話す。斎藤監督が、選手、チームに対してかける言葉は、大きなモチベーションになっていると聞くが、それは吉岡にとっても同じだ。そして、そうした中で過ごす時間に、「心に余裕ができたし、自分に成長がある。」と、自分自身の手ごたえも感じている。
さらに、斎藤監督とともに、吉岡の支えになっているのが、2歳年上の『エヴァ』こと、ハンタヴァ・エヴァンゲリア選手だという。
「エヴァの存在も大きい。彼女と一緒にチームの事を話したりしている。エヴァも、チームの事をよく見てくれていて、調子のよくなさそうな選手の事を気にしたり、落ち込んでいる人に声をかけたりすると、『大丈夫、何話したの?』と心配してくれている。エヴァは、ベテランの気持ちもわかるし、大変さもわかるのでありがたい、メンタルを支えてもらっている。」という。
吉岡は、かつてフィリピンのチームでプレー経験があり、本人は、「ジャパニーズ・イングリッシュです(笑)」と謙遜するが、エヴァともコミュニケーションが取れる。エヴァとの時間も、吉岡にとっては充実の時間であり、食事に行ったり、みどり市の富弘美術館に行ったりするなど、絆を深めている。
斎藤監督に、エヴァ。ふたりの存在について聞くと、「年上がいるというのがなかったので頼りになっている。マッチョさんに、エバに、ふたりとも、ありがたい存在です。」と話す。
年長者ゆえに求められる事ばかりで、これまでは、自分自身を抑え込んだり、犠牲にすることも少なくなかったろう。だが、今シーズンは、そんな吉岡をしっかりと支えてくれる存在がいる。そうした環境の中で、吉岡は、これまで以上にバレーボールに楽しく向き合え、仲間とともに目標達成に向け進んでいるのだ。
チームは、V2優勝、そして、V1昇格に向け、重要局面に入っている。この厳しさが増す状況を何度も経験している吉岡が、ポイントに上げるのは「ミス」だ。
吉岡は、「これまでの試合だと、相手が大事なところでミスをしてくれたり、相手のミスでポイントが取れたが、ここからは、そう簡単にミスをしてくれない。だから、自分たちで点を取らないといけないし、自分たちのミスを減らさないといけない。そこが一番大事な事だと思う。もちろん、相手がV1チームになると、より一層レベルも高くなり、ミスをしてくれない。」とその理由を説明する。
そうした戦いの中で、吉岡自身は、『支える』立場で、チームの勝利、V1昇格へ貢献しようと考えている。
「私は喋る方ではないので、プレーで後輩たちに見せていきたい。スタートから、途中からなど、起用は様々。だから、いつでも行けるようにしっかり準備をして、みんなで戦いたい。」と意気込む。
今のグリーンウイングスは、大きなリーダーシップがなくとも、皆で考え、皆で支え合い、皆で実行できるチームだ。そして、若手を中心に、明るく、元気で、勢いがある。
だからこそ吉岡も、「いい時はいいので、何も言わない。監督にも、リベロという役割もあるが、広く見て欲しいと言われているので、上手くいっていない時に声をかけるようにしている。」と話す。チームが苦しい時に、しっかりと支える準備は、プレーでも、雰囲気作りでもできている。
V2優勝という結果を掴んだこともあったが、これまでを振り返ればV1昇格を目指すも、跳ね返され続けてきた悔しさが大きい。
「昨シーズン、優勝できなかった悔しさがある。個人的にも結果が残せていない悔しさがある。正しい努力をしてリーグ戦を頑張りたい。私自身、かつて入れ替え戦で惨敗して、一度は引退したが、その悔しさがあったからまた戻ってきたので、少しでも借りを返したいし、スタッフや応援してくれる方々への感謝を忘れずに、バレーボールを楽しんで頑張りたい。」と晴れやかに話してくれた。
今シーズンは、支えになる大きな存在がいて、強い結束で共に歩んでいける仲間がいる。悲願達成へ、吉岡みなみも、さらに力を尽くし、最高の笑顔を見せてくれるだろう。