高卒ルーキー・小野関虎之介が面白い。
練習中、どんな時でも、常に出し切っている。それは、ルーキーだからガムシャラに、全力プレーというだけでなく、自身の持ち味を存分に出しながら、早くも存在感を出しているという意味だ。そうした彼の姿に、私だけでなく、周囲の評価も高まっているようだ。高卒ルーキーではあるが、「試合で見たい」、「勝利に貢献してくれる」、私の中では、早くも、そんな期待でいっぱいだ。
始動日以降、何度か練習見学の機会に恵まれ取材に来ているが、練習中、「虎、ナイス!」という大槻毅監督やチームメイトからの声掛けを耳にする機会が多い。唯一の高卒ルーキーにのびのびやってもらいたい、そんな優しさもあるかもしれないが、実際に、好プレーを連発している。
小野関の持ち味は、前線からの守備、そして、チャンスの場面でどんな状況からでもゴールを狙えるフィニッシュワークだ。
大槻監督のサッカーで言えば、前線の選手は、周囲の選手と連動しながらボール保持者を追い込み、ボールを奪いに行くことになる。そうした部分で、小野関は、持ち味である前線からの守備でボール奪取を繰り返し、そこからすぐに攻撃のスイッチへ切り替え、ゴールに向かって突き進んでいく。また、視野広く、逆サイドにチャンスがあると見れば、精度の高いボールを配給することもできる。彼は、練習中、何度も、何度も、そうした自身の特徴を出したプレーを繰り返し、周囲から「虎、ナイス!」と声をかけられている。
小野関は、周囲からの声に「良いプレーも、ダメなプレーも言ってくれるし、先輩たちが引っ張ってくれている。」と謙虚に答える。だが、続けて、「一番年下だけど、先輩たちに火をつけるプレーをしたい。」と、プロとしての強い気持ちも忘れていない。頼もしい限りだ。
他方、練習中、彼の表情を見ていると、時折、口を大きく開けながら苦しそうな表情も見せている。そして、冬の練習ではあるが顔からは滴り落ちんばかりの大量の汗をかいている。
ザスパ加入にあたり、これまで、ザスパの練習参加はあったが、それは単発だ。プロ選手として、日々、サッカーに専念し、しかも、高いレベル、強度の中で練習を続けるのは初めてになる。そうした事について小野関は、「常に100%でやらないとついていけないレベル、練習が終わると何もできないくらいで頑張っている。」と、これまでとは勝手の違いを口にする。
だが、そうした違いに驚くだけでなく、「疲れも出るし、ケアをするのもプロだというのを改めて感じた。プレー強度は高いので、その強度に、いち早く順応することを意識し、筋トレ、体幹をトレーニングしている。」とプレー以外の部分でも、プロサッカー選手として活躍するために意識高く、取り組んでいるようだ。
プロサッカー選手として、初めて迎えるシーズンの開幕まであと1ヶ月。
そんな開幕へ向けた思いを聞くと、表情がグッと引き締まり、強い眼差しに変わりながら、「常に勝ち点3を意識し、リーグ戦で100%の力を出し切れるようやっていきたい。プロである以上、試合に出ることは目標、開幕戦からスタメンを狙いたい。」と力強く語ってくれた。
この後、沖縄キャンプもあり、開幕に向けたトレーニングは続いていく。高卒ルーキーには初めての体験であり、まだまだ長い日々かもしれない。それでも、小野関虎之介らしく、全力を出し切りながら、ケガなく、プロサッカー選手として初めてのJリーグ開幕を迎えて欲しい。
そして、開幕戦。どんな形でもピッチに立ち、彼の良さを存分に出し、「虎ゴール」、そして、勝利を届けてくれると期待している。
私は、早くもそれくらい小野関虎之介というプロサッカー選手に魅了されている。